陽射しは強いけれど、風がすっと身体を通り抜けるたびに心地よい。いよいよ夏も帰り支度を始めたとみえる。
目黒区駒場にある日本民芸館。向いの柳宗悦邸は修復工事も終わり公開しています。宗悦は暮らしの中の「当たり前」に美を見出した。そんな彼の住まいは70年以上経っても、しっかりと生きています。そして邸宅のいたる所には空間があり、今風に云えば、それはデッドスペースなのかもしれない。でもその「何もないカラッポ」が、どんな調度品よりも素敵に感じられました。効率やスピードを追い求める社会が、隅に追いやってしまった「無駄」という宝物です。

民芸館にはどんな装いが合うだろうか…。
久留米絣や琉球紬など、いかにも民芸調なのも面白くないので、本日は控えめに金魚を織り出した薄物の紬。熱帯魚や錦鯉の存在感に比べたら、金魚のそれは派手ではないけれど歴然として有る。日本の美意識ですね。

着物が控えめなので、はっきりとした染め帯を選びました。麻の自然な風合いが活かされているので、目立ち過ぎることもなく、程よく馴染むと思います。
着物の金魚と帯の花などに用いられている色をすくって、帯揚げを黄みの朱色にしました。