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服部綴工房 1~綴れとは?

*インタビュー企画・第一弾* 
服部綴工房 京都市北区平野桜木町36-2

 これまで私はテレビ・ラジオといったメディアで沢山のインタビューや対談をしてきました。その経験を大好きな「和」の世界でも活かしたい。…ってゆーか、(そんな大袈裟なことではなく)いろんな人に会って、いろんなことを聞いてみたい、知りたい。そんなワケで始まりました、鈴なりインタビュー企画!
 今回は、綴れの帯一筋!服部綴工房の代表、服部秀司さんにお話を伺いました。思いがけず話しが盛り上がり、企画・第一弾にして超ロングインタビューです。なので、小分けにしてご紹介します。

鈴:こんにちは。宜しくお願いします。まずは始めの一歩ということで、「綴れ」とはなにか説明していただけますか。綴れが綴れであるという「綴れらしさ」や定義はあるんでしょうか。

服:これは実は難しい質問です。辞書ひいて、綴れの定義を調べれば、それは平織りです。平織りで縦糸が見えない組織を綴れ地といいます。縦糸が見えない時点でそれはもう綴れなんです。残念ながら硬くて締めにくいものも綴れと云われます。機械でジャンジャン織ってても綴れと云われるものがあります。だから「ほんとうの綴れらしさ」を知りたければ、いっぱい触って、沢山見て覚えてもらうしかない。

鈴:そんな機械でジャンジャン作られたものまで「本綴れ」なんてラベル貼って、高い値札つけられちゃうと困りますね。何か見分けるコツはありませんか。

服:爪掻き本綴れという形で説明すると、糸が色の変ってるところは全部織り返えしてるんです。色の変ってるところで回れ右、回れ左というかたちで部分部分を織っていきますので、透かしてみると穴があいてるはずです。これが「把釣孔=はつりこう」(把釣目という場合もある)。この穴があるかどうかが、爪かき本綴れの大きな見分け方です。ただこれは日本で織ろうが、中国だろうが把釣孔はあきます。しかし機械で織ったものには空きません。…あぁ、でも…。その後いろいろ頑張って、機械でも穴があくように開発したところもあるそうです。やっぱり難しいですわ、見る目を養わないとね。
*注・この辺の詳しい説明が《きものサロン》2006年の秋号p.192~193に載ってます。

Tuzure_1
右・ぼかしと縦に長い(棒状)の模様はとても手間がかかる/ 左・くっくり色分けされ、把釣孔もわかりやすい

鈴:いま中国とおっしゃいましたが、近頃は着物も中国産がずいぶん多いようですね。やはり国産の方が安全で確かなものというイメージがありますが。それとも、中国の技術も優れているし、今や「国産」というのはある種のブランドイメージに過ぎないんですか。

服:国産という本当の意味は、おそらく日本人が使うものを日本人が作っていて、それが継続の上で技術が上がってゆき、また守られてゆくという、想いの深さにあると思うんですよ。それを工賃が安いという理由で、最初京都でもまず韓国に持っていった。それで「韓国綴れ」というのが出来た。同時に大島なんかもそっちに行ったわけですよ。これ経済の理論でね。まず工賃が安いから向こうに行って、その国の国力が上がってくる…今度は当然お商売のことですから、韓国で請け負っていた韓国の親方は韓国人に縫わすよりも、より工賃の安いとこに持ってった方が儲かるわけですよ。だから技術が定着して練れてくるまでに、工賃という意味で中国に移るわけです。
一時期、韓国綴れというのが出来て、廃れて、また韓国綴れが出て来てるらしいで、という話になった。

鈴:えっ、どういうことですか?

服:つまりそれは中国産の韓国綴れ。今は中国も工賃が上がってきましたから。中国の親方はすでに北朝鮮やベトナムに織りに出してしまう。

鈴:なんだかすごい話ですね。ワケが分らなくなりそう。一体 made in どこ?って感じです。

服:問題は、そうやって利益のために仕事がどんどん工賃の安い方へ流れてしまうことなんです。せっかく技術を習って織れるようになった職人さんに、すでに仕事がない。その技術が練れていったり発展していく前にもう作れなくなってしまう。すごい勢いで進む国際化の、問題点の一つでもありますね。

鈴:ただ利益のために作られたものは、それを使ったときに使いやすいか使いにくいか、そういうところまで全く考えられてないんでしょうね。お料理でも何でもそうでしょうけど、心が感じられないものには奥行きも味わいもないような気がします。

服:そうかもしれませんね。国産でやってる場合は20年30年…長いことやってるわけです。自分の親の跡を継いでやってるとか。そうして技術も育つし、より質の高いものへと発展してゆく。利益オンリーとは根本的に違うから、やはり国産で作る意味は大きいでしょう。

〔熱く語ってくださる服部さんが、おもむろに帯を持ったかと思うと、パンパンと引っ張って、ピーンと張らせて垂直に立ててしまった! ひゃっ!〕

Standup_1

鈴:綴帯は触ったときに柔らかくてしなやかなのに、しっかりと張りがありますよね。
この「立ち具合」は質の高さの表れなんですか。

服:立ったからエライということはないけど、弾力性や撚りの具合でクタッとならない、腰があるという意味で、この立つというのは目安になるかもしれませんね。ただ注意すべきは、硬いということと、しなやかだけど腰がある、ということは違います。機械で織ったようなものでも、新しい硬いのなんかは天井までつきます。

〔すると今度は帯を扇子を畳むように、山谷山谷山…と屏風状に織りはじめて… またもや、ひゃっ!〕


服:ただ立たせるよりも、こういう動きの方が綴れの特徴がよく出ます。こんな風にバラバラバラっとやれるのは、やっぱり綴れ!振り袖の変り結びをされる場合も、パチッとしてほしいところはするし、それでいて巻くにはしなやか。

Hirahira_2


あはは、と笑いながら服部さんは、まるでハリセンでも振り回すように帯をヒラヒラ回転させて見せてくれました。すごっ。

                 つづく

コメント (2)

鈴なり:

>胡蝶さま、
この記事は初公開。完全exclusiveですよ。
私はいままでラジオをはじめ、メディアで沢山のインタビューや対談をしてきました。そこで、せっかくだから着物の世界でも聞きたいことをガンガン聞いてみよう、と思い立っての挑戦です。
知りたいこと、レポートしたいことがいっぱいあるので、これからもシリーズとして掲載する予定です。
お楽しみに!

胡蝶:

すごい、なんだか雑誌を読ませていただいているような気分で拝見しました。
こちらは、どこかに掲載されたインタビューなのですか?
それとも、番組で放送されたものとか?
これから掲載されるとか?
ほかでも見られるのでしたら、教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。

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2006年09月29日 01:55に投稿されたエントリーのページです。

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