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服部綴工房 2~国産?

鈴:また「国産」という話題にもどりますけど、何をもってして国産なのか…それも実は曖昧じゃないですか? 貝なんかも、どっかで採れたのを、一度日本の海に撒いて「国産」と表示されちゃうし。

服:カニなんかは仕方ないけどね。国境線を歩いてりゃ(笑)。そりゃカニに罪はないよね。たまたまウロウロしてるとこ捕まっちゃったら「00産」にされちゃう。だからカニ的な国産というのと、松茸じゃ話がちがう。やっぱ丹波の松茸は歯触りがちゃうでとか、形は同じでもやはり向こう産のは香りがちゃうでとか。その土地で育ったものには、その土地の味わいがある。

鈴:あはは、ホントに。それにしても冗談はさておき、本当に「国産」というものに対して業者さんを信じるしかないですね。だってどこで染めた、どこで織った、じゃ糸はどこのものだ…って、キリないし。パーツ、パーツがバラバラだったらどの部位を拾って何々産とするかわかりませんもの。

服:あぁ、糸はもうねぇ…絶望的ですわ。糸も昔は日本で作って国産だったわけですよ。でも今は群馬と山形の松岡。その2件しか残ってない。で、こないだ松岡に行きましたが、工場の中のほんの一角しか動いてない。あの日本の軍艦を作っただけの…、戦艦大和を作るお金を稼ぎだしたほどの製糸工場は陰も形もありません。

鈴:そうなんですか。寂しいというか、残念というか。でも着るがわにすれば、良ければそれでいいわけで、そこまではこだわらないかな。じゃ、中国産の良い糸と、日本産の良くない糸を比べたらどうなの、ってことにもなるし。

服:お蚕さんも生き物だから吐き出す糸にもムラがありますね。すれば10個の中から選ぶのと10万個の中から選ぶのでは、沢山の中から厳選した方が結果いいわけですよ。国内で育てられてる繭は無いに等しいですから。ただね、やっぱり食べさせているものとか、いろいろあって、今の糸は大変弱くなってる。

鈴:昔の日本の糸はもっとしっかりしてたんですか。

服:昔の糸は手で簡単にちぎれなかった。それこそ生きた桑を食べさせて、日本の風土に合ってたし。だって松茸じゃないけど、日本の中でさえ、場所によって糸の質が変るぐらいだったんですよ。

鈴:すると、どこどこの生地はいいとか、好みがはっきり出ますよね。

服: それが今は全滅してますから。さっき「良ければいい」とおっしゃいましたが、今はもう着る人も分らないでしょう。善し悪しの比較ができないんだから。

鈴:いずれにしても蚕さんの体調だってあるし、出来にはその時々の優劣があるでしょうね。いいものは献上品になったりして、庶民の手には触れなかったんでしょうし。

服:そう。銘仙なんてのは初めて庶民が着られた絹物。いいものはほぼ全部外国に送られて、その外貨で軍艦作ってた。だから本当のお金持ち以外は絹の着物なんて着られなかったんです。

鈴:よく時代劇見てると、みんなが平気で雨に濡れたりしてて、昔の人はどうしてたの?って思うんです。いくら家で洗い張りをしてたとは云え。。やはり木綿やウールだったからでしょうか。

服:そうでしょうね、それと、平安時代の絵巻なんか見ても、お姫さまが傘をさしてる場面なんてないでしょう。植物染色の爺さんから聞いたんですが、染めるときに鉄媒染、アルミ媒染しますでしょ。あれはものすごい撥水作用があるんです。おそらく昔の植物染色品はとてもつもなく雨をはじいてたということらしいです。

鈴:う〜む、やっぱり同じ着物でも、今と昔ではいろんなふうに違いがあるんですね。

                      つづく

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2006年10月01日 00:18に投稿されたエントリーのページです。

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