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2006年11月 アーカイブ

2006年11月02日

松枝哲哉さん~1

 重要無形文化財久留米絣技術保持者である松枝哲哉さんは、同じく久留米絣における人間国宝・松枝玉記さんのお孫さんです。その松枝哲哉さんが上京していると聞いて、喜びいさんで会いに行ってきました。
 実は、全くブランドに興味のない私は「@@@先生」と作家さんの名前を云われても、しばしばピンときません。ところが数年前に一枚の着物に恋をしまして、それが松枝哲哉さんの作品だったのです。以来、どんな方がこの着物を創ったのかしら、と想像を膨らませていたのです。まさにインタビューのチャンス。鈴なりインタビュー企画・第2弾でございます!
 「おぉ、嬉しいな。私の作品ですね」という声に振り向くと、小柄で目のクリクリした人が立っていました。瞬時に頭に浮かんだのは、白黒ネコのFELIX。それが松枝哲哉さんとの出会いの瞬間でした。(マジドキだった〜)

万)まず久留米絣の特徴から教えてください。
松)先染めの平織りであるということ。藍を使っていること。綿であること。投げ杼(杼=緯糸を通すときに使うもの)で緯糸の打ち込みをすること。その他、細かく挙げれば、もっといろいろ規定はありますが、だいたいはそんなところでしょう。
万)先染めの平織りと一口に云いますが、その行程たるや大変なものなんですよね。
松)えぇ。絣は織るときにはすでに模様ができています。どういうことかと云うと、予め糸を括って染め分けてあります。つまり先染めですね。それを経糸と緯糸で織ってゆきます。初歩的なものは縦絣。縦にだけ模様がある。技法が簡単で、一番原始的。それから横絣があって、後は縦横の絣。3種類。

Kukuri
括り糸の見本。括ったところだけ染まらずに白く残ります。その計算された白色や藍の濃淡の部分がタテ・ヨコと織られて、絵が浮き出てきます。これが絵絣です。

万)こうやって松枝さんの作品を見ても、細かいところは本当に細かい!また、ダイナミックに思い切りいいところがあったり…素人目に見てもクラクラします。
松)縦横絣は技法的にも難しいので、世界的に見ても、分布してるところは限られてます。インド、インドネシアの小さな村、そして日本。日本には全ての絣(技法)があるんですよ。
万)珍しいことなんですか?
松)はい。「絣」というものが日本人の感性ににあっていたからなんでしょう。
万)そして間違いなく松枝さんの感性にもハマったわけですね!松枝さんは始めからこの道に進もうと思ってらしたのですか? 他に、子供のころに夢見た職業とかは?
松)ないですね。中学に入ったころには、もう藍染めを始めてましたし。
万)一途というか…。浮気しないタイプですか(笑)。お祖父さまの玉記さんの存在が大きかったのでしょうか。逆に偉い人が身近にいるだけに、プレッシャーもありましたか?
松)プレッシャーは全くありません。実は私の父はサラリーマンだったんです。なぜ久留米絣の家に生まれて、って思われるでしょ。単純に食えなかったんですね。それで父は一家のために努めに出てくれました。ですから私には祖父や父の想いもあるんです。だから余計に「やるぞ!」って。
万)「食えない」というのは時代ですか。
松)久留米絣の長い歴史の中で、最盛期には220万反も作られていたものが、昭和20年には戦争でほとんど無くなってしまいました。120反だけ…それも技術保存のためだけに作られるようになりあました。それから戦後、少しずつ持ち直して現在は10万反ぐらいかな。それでもまだまだ頑張らないと(笑)。

       つづく…

2006年11月03日

松枝哲哉さん~2

 去る10月28日、上京していた重要無形文化財久留米絣技術保持者である松枝哲哉さんとお会いして、運良くいろんなお話を聞くことができました。久留米絣の特徴について、という話題から「藍」のお話に移ってゆきました。その続きをどうぞ!

Matuedasan


万)それにしても藍って、本当にキレイですよね。日本人をこんなにも美しく見せてくれる色はなかなかないと思いますよ。まさにジャパン・ブルー。
松)でも厳密には日本原産ということでもないんですよ。藍はいろんな国々にありました。
 まず字を見てください。草冠に、監視の「監」と書きます。昔、中国では藍というのは非常に貴重なもので、薬だったんですね。それで栽培するにも監視してたんです。だから監視をされた草。
 種類もいろいろありまして、インド藍は豆科。インディゴと云います。紀元前後からあってローマ帝国に輸出もしてました。それもやはり染料としてではなく、薬でした。
 実はヨーロッパにもイギリス、フランス、ドイツ、トルコなどを原産地とする独自の藍が有史以前からありまして、それを大事にするあまり、インドから入ってきた藍を使うと縛り首になる…そんな厳しい時代もあったようです。ただどうしても染料分が少なく、染まりが弱かったもので、インド藍に負けてしまったんでしょう。
万)へぇ、弱肉強食なんですね。日本の藍は?
松)日本では蓼科の藍が使われていますが、原産はベトナム、ビルマの奥地…、中国の福建省あたりではないかと云われていまして、それも元々は薬として渡ってきたみたいです。いつごろ日本に入ってきたかは不明ですが、かなり古いです。
万)薬としての藍はどのように使われていたんでしょう。
松)江戸時代には胃ガン、食道ガンなんかにも効くと知られていました。この頃の漢方…薬を記した本に【諸毒を解し、久しく服用すれば頭髪白くならず、身体軽くなる】と載っています。
万)現代でも藍染めは虫除けになるとか、アトピーにもいいとか、注目されてますものね。でも…、こんなこと云ったら本当に申し訳ないんですが、どうしても藍のもの…特に木綿などは野良着っぽくなってしまう。野暮ったくてダサイか、ステキになるか…。ギリギリじゃないですか。
松)あはは。たしかに! それは創る側の感性と、着る人の個性でしょう。
万)松枝さんの着物はモダンであるけど、ただ尖ってるわけではない。優しさ、素直さ、可愛らしさ…そういった暖かみを感じます。どういう点を気を配って制作されるんですか。
松)ありがとうございます。私はストーリー性といいますか、その時々の気持ちを大事にしています。
万)では着物を見れば、その時にどんな気持ちだったか、何を想っていたかが分るんですね。
松)えぇ。今着て頂いてる着物は私が暮らしているところの景色です。緑があって、川が流れて、山があって…とても美しいですよ。耳納連山は急激に高くなっていて、独特の地形なんです。私はこの景色をとても大事にしています。環境を守っていくことは大きな課題ですね。
万)「着物」は環境と深く関わりあってますものね。…自然があってこそ、というか。
松)染織りに携わっているのはもちろんですが、やはり「人間」として大切なことでしょう。うちでは湯を沸かすのも薪を使ってます。さすがにお風呂やなんかはガスですが、工房での作業は今でも薪。ただ作品を仕上げればいいというワケじゃなくて、どうやって作るのか。どうやったらみんなが幸せになれるのか。いろいろとね、取り組むべきことは沢山あります。さっきも話したように創る人間の感性はそのまま作品に表れます。ですからいろんな事に興味を持ち、自分も成長していかければダメだと思ってます。
万)これからの夢や挑戦したいことは何かありますか。
松)そりゃありますよ。描きたいものが、まだまだ沢山あります。絵を描くのは楽しいですよ。絵糸を作っていくの。糸が出たり引っ込んだりするうちに、自分が思っていたこと以上のものが表れてくるんですよ。それが一番楽しいとこかな。

 松枝さんは作業している時の楽しさを、目をキラキラさせながら語って下さいました。そしておもむろにポケットから出した一枚の写真…
「これは息子の七五三の時。今はもう大きくなっちゃったけどね」
 写真には奥様と息子さんが写ってました。息子さんの晴れ着は、なんと奥様と二人で作ったオリジナルの久留米絣。なんという贅沢! そしてなんという藍…
じゃなかった、、、愛!


Sorry
写真ではかしこまっていますが、お話をしてる時の松枝さんは表情豊かで、本当にクリクリ目玉のFELIXなんです。先生、許して!

2006年11月04日

フリマ

 気持ちよく晴れた11月3日、文化の日。神楽坂にて「きものフリマ」なるものが開催されました。ぶらっと散歩がてら…なんてユル〜イ気持ちで行ったらトンデモナイ!!
 会場は神社内の建物。午前中にも関わらず、すでに入りきれない人で長蛇の列ができてました。そして並ぶこと1時間。やっと入場したものの、皆さんの熱気におされて、あわわ。…と、云いつつ帯締めを一本¥500でお買い上げ。ちょうど欲しかった色が見つかってラッキー!

 Freem

 それにしても着物姿の多いこと。たのしい〜。アンティークでバリバリにキメている人。さりげなく渋い普段着の人。所謂「正当派」と呼ばれる人。お宮参り(ちょうど七五三ですものね)のついでらしき晴れ着の親子連れ。なかには着物の裾を短めにして、その下からレースが(レース付き長襦袢なのか!?)10cmぐらいフリフリしてる子とか、それぞれ自分なりの着こなしを満喫していました。

Boss
 私は紬地にロウケツ染めで、よろけ縞を描いた着物。帯は秋草と月の季節柄。ちなみにこの日は十三夜。今年の十五夜は大雨だった分、せっかくだから昼間から背中にお月様を背負ってのお月見気分!…って、背中に背負ってたら自分じゃ見えないんですけどね(笑)。帯留めには小さめのドングリを選びました。
 一緒に写ってるのは今回の「きものフリマ」を実現させたSさん。好きなことには並々ならぬ情熱を傾け、労力を惜しまない。その行動力と人望たるや、本当に尊敬します。そのパワーは、しょっちゅう諦めや臆病風にヘコんでいる私のカンフル剤です。

*お太鼓柄は10月5日の【沖縄パワーを浴びて〜城間栄順さん&平良敏子さん】のページに載ってます。

2006年11月11日

ひとりを慎む   …なるべく。

 もっと頻繁にアップしろ、という声を多数いただきました…。
 
 仕事の現場に出向いているとき以外は机にかじりついてのデスクワークが続いていまして。そんな時は、どうもオシャレなどというものからは一番遠いところにいるのでございます。いやはや、近所のコンビニすら行かれないような姿…。そうなると生活というのは、すべてにおいて雑になるものでして。新聞は読み散らかしたまま。食事の時にはお膳の上のものをズィ〜っと端に押しのけて、やっと出来た小さな隙間でご飯をかき込む。衣類もとにかく「楽」を優先。
 向田邦子さんのエッセイで「ひとりを慎む」(たしかそんなタイトルだった?)というエピソードがあります。人の目がないと、どんどんお行儀が悪くなってゆく。でも女性として、人の目がたとえ無くてもちゃんとしていたい。むしろ一人だからこそ、我をしっかりと持っていなくてはならない。そのような内容でした。それが私の意識の端っこに付箋のように、いつもちょこんと張り付いているんですよね。だからこんな時には、なんとも後ろめたいような、自己嫌悪というか…。とにかくそんな状態で、とてもじゃないけどアップなんてとんでもない話でした。ごめんなさい。
……と、ここまでは長〜い言い訳。

Shiozawa

 今日は久しぶりに小野さんが訪ねてくれまして、私もやっと脱スウェット&パーカーです。ほぉ〜、やっぱりキモノは良いわ〜。 机に向って悶々としてたのが、スカッとリフレッシュ。たとえそれが超普段着だとしても!
黒地に白い蚊絣の塩沢紬。帯はすくいの八寸。ナナカマドのような赤い実が、深まる秋らしくて好きです(って、暦はもう冬ですが)。

2006年11月13日

武士の一分

 12月1日、全国ロードショー公開する「武士の一分」の試写を観てきました。良かったです。試写室には仕事で来ている人ばかりなので、わりとシビアな目で見ているというか、ちょっと冷めた空気が漂うこともしばしば。けれど、今日は上映後の拍手も!
 日々の中で、つい見落としてしまうような小さなこと…。実はそんな小さなことこそが、積み重なって「人の暮らし」をつくり、ひいては「人生」であるんですよね。そんな日々の中の「つぶつぶ」を拾いあげる達人、藤沢周平さんの原作を、これまた達人の山田洋次さんが見事に一本の映画にしてくれました。観る前と、観た後では確実に何かが自分の中で変っている…。きっともっと自分の幸せに敏感になる。例えば、何気なく食べているお米をもっとよく噛んで、その甘さと旨さに感じ入るような。木村拓哉さんの絶妙なるユーモアの「間」も見所ですよ。&泣ける!

Daikanyama

 映画のせいでしょうか。無性に着物が恋しくなり、次の仕事の前に一度来たくしてジーンズから着物へ変身。これまた映画の影響でしょうか。ちゃらちゃらしたオベベよりも、もっと生活感があるのがよくて、選んだのは混紡の紬。帯もプレーンな博多の半幅です。先日のキモノ・フリマで購入した500円の帯締めもデビューしました。そろそろ羽織ものがないと、夜はさすがに辛いですね〜。Obi

2006年11月15日

ポストカード撮影

 街はクリスマスの飾り付けで彩られ、デパートにはお歳暮の垂れ幕。飲食店はパーティ予約の案内。「暮れ」がグッとリアルになってきましたね。
 昨日は美容院のPR用ポストカードの撮影をしました。クリスマス&お正月に向けてのものです。

いくらお正月を意識しても、過度に「礼装」「晴れ着」にならないような…クリスマスらしい暖かさも忘れずに…大人だけど可愛い…

Image

 スタッフとイメージのコンセプトをあれこれ話し合い、私がコーディネートしたのは、赤い小紋と黒の名古屋帯。カジュアルでありながら、質感で安っぽさを排除する方向でまとめました。画像はあくまでもイメージ。撮影の現場でスタッフが手持ちのデジカメで撮ったスナップです。これがレイアウトや加工でどう仕上がるのか、みなさんも楽しみにしててくださいね。
Yukidaruma


一目惚れした帯は、しぼりで雪だるまを描き出しています。雪のフワフワ感にやられました。柄がこんなでも、色味を抑えてあるので甘くなりすぎず、コーディネート次第で「ちゃんと大人」にも。こういう帯をイヤミなく締められるチャーミングなおばあちゃんになりたいな。

2006年11月18日

衣装展

 大河ドラマなどで使用された衣装展に行ってきました。実際に着用したものを見ると、役者さんたちの背格好がだいたい分って面白いです。例えば、浅野ゆう子さんはダイナミックなイメージがあったので、さぞ大きい方なのかと想像していたのですが、衣装からは華奢な様子がみて取れました。テレビというフレーム・ワークの不思議さですね。また強い照明も、着物の色みや質感を変えてしまうんですね。
自分が着物を選ぶときも、どんな状況で着るのか…そんなことをも想定するといいかもしれません。よくリゾート地の強い陽射しの中でステキに見えた服が、帰ってきたら派手すぎてダメ、なんてことありますよね。それも陽射し=照明のマジックなのでしょう。もちろん、心境の問題もあるでしょうけど。

 Ishouten

 私(右)はロウケツのよろけ縞の着物。しぼりの帯を合わせました。全体がシンプルなので、刺繍の半衿。でも色は白。…我ながらコンサバだわね。
友人のMさん(左)は墨色に水玉の着物。刺繍半衿は紺。帯はなんと自分で気に入った生地を見つけて帯に仕立てたという「超おあつらえ」の完全オリジナル。本当にオシャレさんなんです。写真では分りませんが、裏地にも凝ってるんですよ〜。いつも良い刺激をもらってます。
 それにしても、「キモノ」と一口に云っても、その個性たるや限りがありません。だから楽しいのじゃ!

Sorezore

お知らせ

 今年の寒さはゆるやかな足取り…ではありますが、それでもだんだんと冷え込んできましたね。そんな時にちょっと羽織れるものがあるといいと思いませんか?

   現代の“大人可愛い”にニットははずせない!
   でも私たちが大好きなキモノの世界には
   なんでニットがないんだろう。。。

絹物の羽織やコートはもちろんステキ! でももうちょっとカジュアルに…かつオシャレに着られるものがあってもいいですよね。家の中で。そして、もちろんお出かけにも。
そこで 新しい キモノニットウエア ブランドを作りました!

    amamfwawa あむあむふわわ

家事をしても袖が邪魔にならないカーディガン・タイプ、トラッドな羽織をニットで実現したもの、フワッと羽衣のようなモヘアの羽織、めっちゃ暖かなコート。。。
それ一枚でも、またお手持ちの上着と重ね着してもOKなのがニットの良さ。さらに、amamfwawaのニットはキモノ&洋服の両方にコーディネートできるのが魅力です。
あなたのスタイルで、ぜひお楽しみください!

まずはWEBを(仮)オープンしました。イベント・フェアのご案内をご覧頂けます。
http://www.amamfwawa.com
ページの左上にリンクがありますので、クリックしてください。

amamfwawaに関するニュースは随時、発表していきます。
どうぞ、みなさま御贔屓くださいますよう、宜しくお願い致します!

2006年11月26日

お茶にみる季節

「あぁ、もうこんな時期なのね」
 気付けば、春夏秋冬、年中そんなことを口にしています。オシャレは季節にさきがけて…のはずだけど、気持ちはいつも過ぎてゆく時間を惜しんで、取り残されてゆくよう。特に今年は暖かさが続いていたせいか、仄暖かい、清々しい秋がずっと続いてゆくような錯覚に陥っていました。
 忙しくサボりがちだったけど、今週末は思いきって仕事を後回しにしてお茶の先生を訪ねました。炉開きも済み、風炉が据えられていた時とはまた別の空間に生まれ変わっていました。夏の間は移動型の「風炉」と呼ばれるものを用いて火をおこし、お湯を沸かします。冬の間は畳に切られた「炉」に炭を入れます(写真右下)。どちらも火をおこすのは同じですが、不思議と炉の方が暖かさが沁みてきます。まさに「ほっこり」。しかしこの「ほっこり」も一歩外へ出れば、また暮れの慌ただしさにかき消されてしまいます。お茶の時間はしばし浮き世から解き放たれる至福のパライソなり。

Robiraki

小さなヒョウタンを散らした黒縮緬のキモノはずいぶん前に購入。自分でキモノを見立て始めて間もないころのものです。まだ自分に何が似合うのか、どんなものが好きなのか、よく分ってなかったんだな〜。作ったものの、あまり出番は多くありません。でも、そんな着物でも帯や小物で引き立ててあげようと、最近は心がけています。
帯は母から譲られた紅型。かわいいピンクベースなので、地味な着物も少し楽しくなりました。

2006年11月30日

色と音と心模様

 昨日のNHK放送の中で、「群青」についてお話ししました。科学的、物理的、医学的な見解からすれば、色は光の反射とそれを受容する目や脳の働きに過ぎない。けれど色をもっと豊かにするのが心理であり、人の経験と記憶だと思います。 私にとっての群青。それは…

  夜中の海岸
  突き出した岩の上に黒く並ぶ松の木のシルエット
  暑いのか寒いのかもわからない真空
  孤独
  ゴーッと鳴り響く音
 
 色彩が引きずりだす、記憶の断片。そして色彩が奏でる「音」。それらがなんなのか、私にはわかりません。ただ感覚はどこまで自由なのだと確信するばかりです。そして「記憶」は決して「過去」だけのものではなく、常に現在と寄り添いながら進行形である、と。

 ふと、作曲家の金井さんのことを思い出しました。2006年度全日本吹奏楽コンクール課題曲【風の密度】の作者、金井勇さんです。 金井氏が、お茶室で過ごす時間を大切にしている、と語ったのが印象的でした。その瞬間に作曲のことを考えているわけではないけれど、静寂の中にいるからこそ聞こえてくる音もある…。そんなお話をして下さったのが嬉しかった。語らずして語る。見せずして見せる、といった私の理想/憧れを分ってくれる人だと感じました。近頃、世の中は少々うるさい。
 
 少し前から小雨が降ってきました。窓の外。音もなく降る雨。それでいて私は雨の音を聴いています。

Garden
 金井氏とは9月に、私がパーソナリティを務めているFM横浜の番組のゲストに来てくださった時に初めてお会いしました。作曲家の先生をお迎えする…どんな気難しい芸術家然とした人だろうか。エラソーにされちゃったりして〜(泣っ)なんてオロオロしていたら…。白いTシャツにジーンズ。大汗かきながら「どうも、どうも」とペコペコ。思わず「えっ、金井先生の付き添いの方?」と勘違いしてしまいそうでした(謝)。かえって妙な先入観を頂いていた自分が恥ずかしい。物事に対してフェアな目線を持った【好青年】といった感じかな。

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