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松枝哲哉さん~2

 去る10月28日、上京していた重要無形文化財久留米絣技術保持者である松枝哲哉さんとお会いして、運良くいろんなお話を聞くことができました。久留米絣の特徴について、という話題から「藍」のお話に移ってゆきました。その続きをどうぞ!

Matuedasan


万)それにしても藍って、本当にキレイですよね。日本人をこんなにも美しく見せてくれる色はなかなかないと思いますよ。まさにジャパン・ブルー。
松)でも厳密には日本原産ということでもないんですよ。藍はいろんな国々にありました。
 まず字を見てください。草冠に、監視の「監」と書きます。昔、中国では藍というのは非常に貴重なもので、薬だったんですね。それで栽培するにも監視してたんです。だから監視をされた草。
 種類もいろいろありまして、インド藍は豆科。インディゴと云います。紀元前後からあってローマ帝国に輸出もしてました。それもやはり染料としてではなく、薬でした。
 実はヨーロッパにもイギリス、フランス、ドイツ、トルコなどを原産地とする独自の藍が有史以前からありまして、それを大事にするあまり、インドから入ってきた藍を使うと縛り首になる…そんな厳しい時代もあったようです。ただどうしても染料分が少なく、染まりが弱かったもので、インド藍に負けてしまったんでしょう。
万)へぇ、弱肉強食なんですね。日本の藍は?
松)日本では蓼科の藍が使われていますが、原産はベトナム、ビルマの奥地…、中国の福建省あたりではないかと云われていまして、それも元々は薬として渡ってきたみたいです。いつごろ日本に入ってきたかは不明ですが、かなり古いです。
万)薬としての藍はどのように使われていたんでしょう。
松)江戸時代には胃ガン、食道ガンなんかにも効くと知られていました。この頃の漢方…薬を記した本に【諸毒を解し、久しく服用すれば頭髪白くならず、身体軽くなる】と載っています。
万)現代でも藍染めは虫除けになるとか、アトピーにもいいとか、注目されてますものね。でも…、こんなこと云ったら本当に申し訳ないんですが、どうしても藍のもの…特に木綿などは野良着っぽくなってしまう。野暮ったくてダサイか、ステキになるか…。ギリギリじゃないですか。
松)あはは。たしかに! それは創る側の感性と、着る人の個性でしょう。
万)松枝さんの着物はモダンであるけど、ただ尖ってるわけではない。優しさ、素直さ、可愛らしさ…そういった暖かみを感じます。どういう点を気を配って制作されるんですか。
松)ありがとうございます。私はストーリー性といいますか、その時々の気持ちを大事にしています。
万)では着物を見れば、その時にどんな気持ちだったか、何を想っていたかが分るんですね。
松)えぇ。今着て頂いてる着物は私が暮らしているところの景色です。緑があって、川が流れて、山があって…とても美しいですよ。耳納連山は急激に高くなっていて、独特の地形なんです。私はこの景色をとても大事にしています。環境を守っていくことは大きな課題ですね。
万)「着物」は環境と深く関わりあってますものね。…自然があってこそ、というか。
松)染織りに携わっているのはもちろんですが、やはり「人間」として大切なことでしょう。うちでは湯を沸かすのも薪を使ってます。さすがにお風呂やなんかはガスですが、工房での作業は今でも薪。ただ作品を仕上げればいいというワケじゃなくて、どうやって作るのか。どうやったらみんなが幸せになれるのか。いろいろとね、取り組むべきことは沢山あります。さっきも話したように創る人間の感性はそのまま作品に表れます。ですからいろんな事に興味を持ち、自分も成長していかければダメだと思ってます。
万)これからの夢や挑戦したいことは何かありますか。
松)そりゃありますよ。描きたいものが、まだまだ沢山あります。絵を描くのは楽しいですよ。絵糸を作っていくの。糸が出たり引っ込んだりするうちに、自分が思っていたこと以上のものが表れてくるんですよ。それが一番楽しいとこかな。

 松枝さんは作業している時の楽しさを、目をキラキラさせながら語って下さいました。そしておもむろにポケットから出した一枚の写真…
「これは息子の七五三の時。今はもう大きくなっちゃったけどね」
 写真には奥様と息子さんが写ってました。息子さんの晴れ着は、なんと奥様と二人で作ったオリジナルの久留米絣。なんという贅沢! そしてなんという藍…
じゃなかった、、、愛!


Sorry
写真ではかしこまっていますが、お話をしてる時の松枝さんは表情豊かで、本当にクリクリ目玉のFELIXなんです。先生、許して!

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2006年11月03日 18:45に投稿されたエントリーのページです。

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