「ビバ東北」にて、秋田・青森で味わった感激を書き綴っておりますが、どうもすぐに脱線してなかなか進みません。青池から藍染めを連想したので、今回もちょいと寄り道します。
染織り作家・青戸柚美江さんの傘寿(80歳)を祝う集いが先月ありました。そこで出会ったのが【出雲織】と呼ばれるもの。藍染めを基調としたものは沢山ありますが、出雲織…正確には青戸さんの作品の優しくて強い魅力に夢中になりました。

素朴で穏やかななのに、ずっと深いところにはグツグツと煮えるような激しさを内包してる作品の数々。中でも私が一番惹かれたのがコチラです。
日本の歴史と知恵と美が濃縮された着物ですが、残念ながらその原料となる絹や綿のほとんどは輸入に頼っているのが現状です。しかし青戸さんは染めや織りだけでなく、綿花を育てるところから始められるそうです。収穫した綿から糸をつむぎ、それがやがて膨大な行程を経て反物に仕上がってゆく。実に気の遠くなるような話です。
今回の集いで、青戸さんは結婚された当時のお話も披露してくださいました。親が勝手に決めてきた結婚。相手の顔さえ知らぬままに嫁ぎ、毎日を必死に生きてきたら、アッという間に月日が流れていたそうです。その「アッという間」の陰には並み成らぬご苦労もあったと想像します。でも日々を懸命に生きる姿は、作品を創る姿勢にも繋がっているように思います。
生地を触ると、しっとりとやわらかく、フワッとしていながら適度な重量感もある。自然と人間の交わりの中で生まれた布は力強く呼吸をしているのですね。「出所」も「行程」も見えにくい「加工品」に埋め尽くされている現代生活を送る中で、青戸柚美江さん、及び作品に触れることができたのは大きな刺激になりました。

ちなみに青戸さんは綿のみならず「藕絲=ぐうし」も手がけています。蓮の茎を折って引くと、蜘蛛のの糸みたいな細い繊維が出てくるそうです。藕絲はこれを紡いで作るのですが、40キロからわずか2gしか採れないとか。