8月22日
愛用している針刺しは祖母のお手製です。水色が薄汚れてほとんど鼠色になってしまったボロボロの針刺しを使っていたら、見かねたのか、新しく作ってくれました。祖母が「これをお使いなさい」と差し出してくれたときには、新しい針刺しの赤色が、どれほど艶やかに見えたことか。今からもう25年ぐらい前のことです。その祖母はもういません。
今日、和裁のお稽古中に何気なく針刺しを眺めていると、縫い目が気になり出したのです。そういえば、今までじっくり観察したことなかった。一つ一つの針目を見ていたら、祖母の運針…なんというか、祖母の呼吸みたいなものが感じられました。彼女はもういないのに、まるで生きているように暖かい。彼女の手の形、指の曲がり具合、皮膚の感触、爪の色。自分でも驚くほど細部まで思い出しました。まるで隣に祖母がいるみたいに。不思議です。
どんなに大きく深い川でも、分つことのできないものがあるんですね。
