メイン

キモノあれこれ アーカイブ

2006年06月13日

浴衣を求めて

 「いい浴衣が欲しい」 依頼者Nさんの何気ない、それでいて本音の一言は難しい。『いい』に定義はないのだから。Nさんは外資系にお努めの30代半ばの女性。仕事がハードなだけに、プライベートはキモノで和みたいそうです。キモノ歴は長くないけど、さすがに『いい』ものを見る目は確か。色白で肌がキレイなNさんには、どこかスッと一本スジが通ったような雰囲気が良さそうだな。。。
 そんなNさんに似合う浴衣を探す一日。新富町でナレーション録りの仕事をした後、午後は呉服屋さん廻りを敢行。新富町→銀座ルートなので、銀座通りよりも手前からチェック。【もとじ(和織、和染)】【新松】【世きね】を覗いて、最後は道路を渡って【むら田】まで足を伸ばす。ちなみに越後屋さんは2日前にチェック済み。今年は『しぼり』が目を惹きます。越後屋さんは、いかにも職人技が栄える上質の絞り浴衣を良心的な値段で提供。Fukumoto1_1
Fukumoto2_1
そして特に心奪われたのは、もとじさんで見つけた福本潮子さん作の一枚。『静』と『動』が両立した、洋服と並んでも浮かないモダンなセンスがピカッ!思わず自分が欲しくなっちゃうよ〜。とりあえずNさんにプレゼンしてみよう。

2006年07月18日

トロカデロ その2

 ちょうど一週間前に堪能したNY発のバレエ・エンターテインメント集団、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団のファンクラブイベントが行われました。私は司会として参加させて頂き、とても楽しく、またプロフェッショナルたちのエネルギーを間近で感じることができました。有意義な夜。
 実は数日前から衣装にはコレ!と決めていたキモノがあったのですが、スタッフ側から今回はキモノNGという連絡。ハワイアン風の会場だから、だそうです。えぇ〜っ! でも仕方ないですよね。ハワイアン…しかもお題はバレエ。前にも書いたように、キモノの魅力の一つに「調和」があります。場をより良いものにするのが願いなのだから、自分の我を押し通すわけには行きません。だいたいが「我を張る」のはエレガントとは云えないもの。…と、自分に言い聞かせたものの、このイベントにぴったり似あうコーディネートだと自信があっただけに残念。やはり、まだまだキモノの周囲にはいろんな壁があるんですね。
 そんなワケでちょっと寂しい気持ちになっていたら、嬉しいことに会場に集まったファンの方々の中にはキモノ姿の女性も! さらに当のトロカデロのメンバーの中にもキモノ姿を発見! 
Trocaderocopy Koiyukatacopy


集合写真右下のロバート・カーター氏。今回の来日公演中に入手したという浴衣の柄は鯉の滝登り。大胆な柄を上手に着こなしています。首にはやはり鯉をあしらったチョーカー。バレエで鍛え上げたヒップは筋肉で盛り上がっています。帯の位置を工夫することでバランスの良い着姿になっているのは、さすがの美意識。「もちろん自分で着たんだよ。帯結びだって何通りもできるんだよ」と誇らしげにでした。
ちゃんとした写真をバッチリおさえたかったんですが、司会という立場上、カメラマンになれなかったのが悔しい!

*注:画像のコピーやダウンロードはご遠慮ください。お願い致します。

2006年07月20日

自然布

 キモノの美しさや楽しさは云うまでもありませんが、「布」自体が持つ力強さにはクラクラします。タテヨコ、タテヨコ…と糸が交差しながら一枚の布が出来上がっていく。しかし、その作業をするためには糸となるものを準備しなくてはなりません。人は、まず考えられる限りの、あらゆるものから糸を作り出しました。綿、紙、草、蔦、それに藤やシナや柳などの木の皮、果物の繊維etc…その発想力と創造力たるやスゴイと思いませんか?  
 今日は自然布を集めた催しものに行ってきました。一枚いちまいを眺め、また手にとって風合いを確かめる。完成に至るまでに要した時間、労力、愛情、苦労、信念というような、目には見えないけど確固たるエネルギーを感じます。きっとそれが身にまとった時に「ぬくもり」「気持ち良さ」「しなやかさ」「美しさ」といった喜びになるのかもしれないですね。
 沢山の反物が並ぶ中に、妙に惹かれるものがありました。「津軽こぎん刺し」。Sashiko
まぁ、いわゆる刺繍ですけど、素朴で実直なところが良いのです。写真では普通の模様にしか見えないのが残念。この模様を形成しているのは小さな、小さな一針なんです。しかもどういうわけか、反物が並ぶ中で、これだけちゃんちゃんこ風のものに仕立ててあったので羽織らせてもらいました。肩や背中をフワッと包み込んでくれるような心地よさ。う〜ん、ワンピースの上だとヘンテコですけどね(笑)。これが帯や普通のキモノになっていれば、Koginそりゃステキに違いありません!


 自然布にふれた一日。一言でいえば「人間ってすごいな」かな。このようにキモノはいろんな切り口で、私に新しい世界を案内してくれるのです。

2006年07月24日

夏祭り

Yataiとんでもない猛暑の後はずっと雨続きだった。それがラッキーなことに、この日は雨も降らず、暑すぎず、凌ぎやすい一日となった。なんてラッキー!
22日、K宅にてパーティ。私が到着したときには既に宴もたけなわ。お庭には恒例の屋台が並び、空腹を刺激する。今回の趣向は「かぶりもの」なのか?! ケータリングの人たちが緑アフロのカツラをつけたりして…って、それはいいんだけど、その姿で真剣に焼き鳥を焼いたり、ドリンクのサービスをしたりしてるからフルってるわ!


Obijimeall_2 Obijime_1
おっと、彼女の帯締めがステキ!よく見せてもらうと、細めの組紐にトンボ玉を通して、グルグルッと立体感を持たせて結んでいるんですね。全体が落ち着いたトーンの装いなので、やや地味な感じになりやすいのですが、ここにポイントを持ってきたことでオシャレ度がグッとアップ!ちなみに彼女はお花屋さんだそうです。それで紐のアレンジが上手なのでしょうか。ちょっとしたことでセンスがキラッ!


「かぶりもの」はケータリングのスタッフだけじゃありません。Wow, Miss Pink!Pinkychan Pinky
何だか違和感がないのは夏のマジックなのか…いやいや、彼女の存在感でしょう。全身を見れば配色バランスの上手さが分りますね。あえて欲を云うならば、もう少し青みのあるピンクならもっと似合うでしょう。こんなアソビも許される解放感は、浴衣ならではですね。

Peace_1
お庭の中央には見事な藤棚があります。その下に怪しく輝くのは…ピース・サインの氷の彫刻!主催者K氏の特注です。Dollar_1

引っ込み思案の私も最後はこんなになっちゃいました〜。

2006年08月04日

まだ? まだまだ! 浴衣事情

 先日、知人YからSOSの連絡を受けました。実家から浴衣セットが送られてきたので、どうすれば良いか教えてほしいとのこと。急遽、着付けレッスンをすることに。箱の中には浴衣、つけ帯、下着類、巾着などの小物まで…至れり尽くせりのセット。その中に謎の布がヒラリ。何だろ? 腰紐にしては短い。Yがあらかじめラベルを取っておいたので、分らない。Y曰く、エリだという。エリ…衿?

Whatsthis 実は、色柄違いでもうワンセットあったので、それを開封してみることに。手つかずのセットの中にはやはり「エリ」が入っていた。しかも未開封のパッケージには「ユカタヨウカサネエリ」としっかり明記。う”〜。販売メーカーがこういうことをするか!? マイッタ。

 近頃は浴衣を華美に飾り上げるのが若い人中心のファッションに取り入れらえています。ファッションは文字通り、その時々のニーズや趣向に基づくものですから、いろんな関わり方や風潮あってしかり。それぞれが楽しく自由に装えばOK。けれど最低限のラインというのは知っておいて欲しいです。少々口はばったいようですが、あえて発言させてもらいます。
 キモノ関連の雑誌や特集が増えているのはとても嬉しいですね。フォーマルなものからくだけたものまで種類も豊富。中にはビックリするほど独創的でポップなコーディネートも登場します。着物にアクセサリーをジャラジャラ、サングラスに毛皮のマントに編タイツ…。ひとつのアートとして眺めた場合、トキメキがいっぱいで私も決してキライではありません。ただ、それは雑誌の「ページ」というフレームがあって始めて成り立つもではないでしょうか。パリコレなどで発表される奇抜なスタイルも、ステージの上の演出された世界と実際のユーザーに合うものとでは違います。REAL CLOTHES という表現があるように、キモノにも実生活の中で活きてくるスタイルがあります。オシャレな皆さんには、どうかそのエッセンスだけを上手に取り入れて頂ければと思います。
 かくいう私も(20年以上も昔)パンクにドップリでした。ガンガンに逆毛を立てて、スタッド付きの首輪をしながらキモノを着てました。上前もわざと逆にしたりして…。今にして思えば、そのころ大人たちはさぞ苦々しい想いで私を見ていたことでしょう。若かったな〜。しかし!(自分を正当化するわけではないですが)何かに対するアンチテーゼや自己表現としてタプ−を犯すのと、知らないで「やってしまう」のとでは違います。
 歌舞伎役者の中村勘三郎氏がこんなことをおっしゃっていました。
「基本が出来てるうえで自由にやるのは型破り。だが基本もないくせに好き勝手やるのはただの形無しだ」 
さすがですね。お芝居や着付けに限らず、これは何にでも当てはまる言葉だとして私に深く突き刺さっています。
 何だか随分と話題が広がってしまいましたが、さて、ユカタヨウカサネエリについて。
これはまず有り得ません。そもそも重ね衿=伊達衿というのはフォーマルなものです。留袖、振り袖、訪問着などに用います。つまり浴衣に重ね衿なんて、まるでパジャマにネクタイをすうるようなもの。はっきり云ってトンチンカン。
 しつこいようですが、浴衣はあくまでも「涼やか」「爽やか」「手軽」が身上。ちょっとしたお出かけで、襦袢に衿をつける場合でも白く、幅もあまり大きく出さずにスッキリさせるのがオシャレ。また帯揚げや帯締めはお太鼓結びにするために必要なものです。サラリと半幅帯を締めたなら必要ないもの。どうしても飾りが欲しい時は、根付けや小さめのさりげない帯留めぐらいが良いでしょう。
(あれもこれも「さも必要」というように商品が出回っていますが、メーカーさんの「商売っけ」に振り回されないようにご注意を!)

 やっと梅雨が明け、「やっぱり浴衣を新調したい」という方もいるのでは? 今からだと仕立て屋さんが夏休みに入ってしまうので、だいたい仕上がりが8月20日頃になる可能性あり。でも超ラッキーならギリギリお盆直前に滑り込めるかもしれません。いずれにせよ、思い立ったら一分でも早く行動に移すべし! 浴衣の着用時期は7月、8月と云われていますが、この暑さ。秋祭りやご近所用の普段着としてまだまだ出番はありますよ。種類によっては単衣のキモノとして活用できるものもあります。浴衣出遅れ組の皆さんもまだ諦めないでくださいね。

2006年08月05日

浴衣事情2

「いくらぐらい?」
「家庭があると、資金ぐりが…」
「仕立てるなんて贅沢〜」
 こんな質問やメッセージが多く寄せられます。何をするにも先立つものの心配はつきものですよね。よく分ります。特にキモノ類は、お金をかけようと思えば際限ありません。ホントにお金のなる木でも植えたいぐらいです(トホ…)。でも高額ばかりがキモノじゃありません。特に浴衣は手頃な品も沢山あるので入りやすいですよね。安いものなら仕立て上がりで4、5千円ぐらいからありますよ。
 そんな中でも侮れないのがユ○クロ。浴衣を取り扱い始めた当初、さっそくチェックしに行きました。その頃は、ハッキリ云ってヒドイ!と思いました(ごめんなさい)。あんな貧相なものをまとうなら、いっそTシャツと短パンでいいじゃんって感じでした。以来ユ○クロの浴衣は私の中から消えました。ところが数年たった先日、たまたま手に取ってみる機会がありました。すると、どうでしょう。この数年の間にものすごく進歩しているではないですか!実際に袖を通してないので着心地までは計りかねますが、触った限りではイイ線いってましたよ。¥3990でフルセットが手に入る便利さ(今週末キャンペーン¥2990)。私は白 x 紺の「向日葵」というのが狙い目だと思います。難を云えば、知ってる人が見れば「あ、ユ○クロだ」って分ってしまうこと。でもそれも気持ちの持ちよう。要するに、着る人が何をもってヨシとするかなんですよね。ちょっと良いもの着て満足に浸るか、「お得」をヨロコビとするか。もちろん良いものをリーズナブルに、というのが最高ですけどね!
 さて、超低価格のバジェット路線以外では、19,000円〜39,000円ぐらいでしょうか。デパートのオリジナル商品や、Dブランドが打ち出しているキモノ・ラインの仕立て上がり価格です。
 一方、反物は10,000円〜。作家ものや、手の込んだ高級品を覗けば、2万円以内でかなりステキなものはゲットできるはず。プラス仕立て代(1万〜15,000円)をプラスしても吊るしのお仕立て上がりとさほど変りません。それならいっそ、自分の寸法にピタリとあった着やすいマイ・浴衣を一枚…というのもアリですよね。浴衣は体の線がより出るので、体に会った寸法のものはキレイです。それに着付けもラクチン!
 花火に一回着るだけだから、という人は手頃なものでもいいし。或いはもうちょっとステップアップしたい、という人は仕立ててみる。さらに、もっと頑張って自分で作ってみるのもいいかも。まだ間に合いますよ。
 

2006年08月07日

浴衣事情…さらに

こないだ「浴衣事情」ということで、ユ○クロの激安・浴衣を取り上げました。記事を載せた後、書くからには自分で着てみないと…という気持ちがフツフツと沸きまして、試しに買ってみることにしました。う〜む、ツッコミどころは多々あります…が、この値段を考えれば何の文句が云えましょう。何よりも、和装を遠い世界のものと感じていた人たちが「着てみようかな」と身近に感じてくれるキッカケに成りうるということがイイですね。スタートがどうあれ、そこから徐々に本物の良さが見直されていくようになればステキですもの。


Pink
帯はさすがにペラペラです。でもそのペラペラがかえって軽くてイイ!という人がいるやも? 


Black
和装を楽しむ上で着物以上に大事なのが、実は帯なんです。どんなに上質な着物を着ていても、帯が安っぽいと全身が安っぽくなってしまう。反対に着物はそこそこでも、いい帯を締めていると全体がグレードアップする。試しに単衣の薄いものですが、正絹博多献上の浴衣帯をしてみました。


White
こちらは同じ正絹の博多献上でも浴衣用の単衣ではなく、小袋になっている(裏地あり)しっかりとしたものです。写真ではテクスチャーの違いまでは分りづらいですが、何となく雰囲気の違いを分って頂けるでしょうか。もし「なんか違うな」と感じて頂けたなら、それはきっと帯の配色による印象の違いではないと理解してください。


 元々、自然派ではありますがキモノに興味を持ち始めてからより環境問題に敏感になりました。まず季節の移り変わりを意識します。また、美しい染め物・織物は、それを形成する材料があってこそです。それらは全て自然界に存在します。自然が破壊されれば、どんどん作れなくなってしまいます。気候も大事です。各地には、その土地ならではの寒暖を利用した技法があります。温暖化や異常気象によって、長年に渡り培われた知恵と技術が途絶えてしまう可能性もあるわけですね。さらには「職人」という資源です。着る人・使う人=受け皿がなければ、どんなに優れた作品も意味をなくしてしまいます。技と心意気を後世に伝えてゆくためにも、受け皿である私達がもっとキモノはもちろん、地場のものを見直していきたい……そんなことを想う日々です。

2006年10月12日

キモノ体験

 10月10日。お仕事でお世話になったヘアメイクのMさん。全く着物とは接点のない生活をしているそうです。でも来年の年賀状には着物姿を、ということで引き受けさせて頂きました! スタイリングと着付け。和スタイリストの血が騒ぎました〜!

 どんな着物を着てみたいか尋ねてみたところで、全く分らない人には答えようがありませんよね。なので違う質問から始めました。好きな色は。普段の洋服の感じは。趣味は。そんな何気ないところから手かがりを探します。さらに髪の色、目の色、肌の色、全体の雰囲気などからパーソナルカラーを判断(今回は細かくチェックする道具が無かったので、あくまでも目測ですが…)。そして着付け。
 選んだ着物は墨色の小紋。キリッとした着物ですが、Mさんのやさしい雰囲気を生かすために帯にピンクを持ってきました。それによって全体がやわらかいトーンになったと思います。

 Pict6309
 思い切り雰囲気をだしての撮影会。「緊張する〜」というMさん。
「成人式でも着なかったし…着物は七五三以来かな? 照れますね」

無事に撮影も終えて 、、 ホッ。
「なんだか着物を着ただけで気分が変って楽しかったです」という一言がとても嬉しかったです!

2007年01月16日

春を想ふ

 早いもので、1月も半分が過ぎてしまいました。昨日のブログにも書いたように、これからどんどん私たちの目は「春」になってゆくのですね。あんなのがいいな。こんなのもいいな。春の装いへのトキメキは果てしなく広がります。
 今日は江戸友禅作家の小倉悟さんの作品を見てきました。小倉さんの作品の魅力の一つは色使いだと思います。でしゃばらない上品さと、すっきりが身上の江戸好みが意気投合した…とでも云うのでしょうか。あくまでも着る人が主役でいられる着物。着る人の個性を尊重してくれる着物。品物として見て「いいな」と思うものと、着てみて「いいな」と思うもの。その両方が叶うのが一番ですよね。
 春のモチーフはいろいろありますが、中でも一番人気なのが桜でしょう。同じ桜でも表現は限りありません。

Sakurayawa
 塩瀬の染め帯。地色と同じグレーのトーンをグッと落として陰を描くことで、とても立体的に仕上がっています。お太鼓にした時にさらに奥行きのある空間が生まれそう。赤く差した萼がアクセントになることで、地味にならず、意志をもった桜が咲きました。

Sakuratumu
 同じグレー地に桜の帯でも、こちらは紬地。輪郭を無くした花びらと生地の風合いがマッチして、実に「らしさ」を出しています。しっかり描かれた枝やつぼみが、より季節感を強調。その時だけ締めたい贅沢な一本。

Edokomon
 桜の型紙を使った江戸小紋。その所々に桜の花びらを散らしています。花びらにほんのり色を差し、美しいボカシを入れてるのがニクイねー。

Penguin
 ところで、こんなのも!
小倉さんのペンギン・シリーズはとても人気があります。

2007年01月19日

春の橋渡し

 楽しかったお正月の終わりを告げると共に楽しみなのが、年賀状のお年玉くじ。いえ、ハワイ旅行だのホームシアターセットだの、そんなのはいいんです。〒フェチの私としてはお年玉切手シートが当たればバン・バンザイ!…でも、今年は全滅。ガックシ。
 そんなガッカリ気分をお持て余してた矢先、ちょっとステキなことを教えてもらいました。節分までのちょうど今頃…冬の土用の期間を、冬から春の橋渡しと呼ぶそうです。同じ寒さでも、なんとなく楽しくなるような、ほんのりと希望が差し込むような気がしませんか。春を告げる節分。楽しみですね!

Setubun

 本日、ステキな帯留めに出会ってしまいました。まさに節分までの「今」楽しみたい逸品。見つけたお店は青山に新しくできた「東三季」。ステキな一軒家が丸ごと店舗&サロンになっています。呉服屋さんというよりは究極のセレクトショップです。反物、帯、バッグ、帯揚げ、紐類 etc.。こんなアンティークの帯留めもあったり、着物好きのためのワンダーランド。これから入り浸っちゃいそうです!
詳しくは→ http://silkandzen.co.jp/tousanki/

Umedayori     
 なにしろ居心地がよくておしゃべりも尽きません。ハッと気付けば、なんと3時間近くいたかも。ひぇ〜!
 たくさんステキなものを見せて頂いたうえに、美味しいお茶とお菓子までごちそうになりました。口の中に入れるとシュワ〜っと溶けてゆく優しい甘さ…そのお菓子の名は、梅だより。

2007年01月21日

初釜

 普段の生活の中からはとっくに過ぎてしまったお正月ですが、今日は初釜という新年最初のお茶会がありました。新年のご挨拶をし、みんなでお懐石やお茶をいただいてお祝いをします。もう一度お正月が来たみたいで得した気分。キリッと気持ちが引き締まるような心地よい緊張感と、また社中のみなさんとお会いできる嬉しさと、美味しい食事やお茶と、さぁまた頑張ろうというやる気に満ちた、充実の一日でした。

Hatsuobi
  着物という決まったフォルムでありながら、誰一人として同じ雰囲気にならないのが実に面白いです。その方の雰囲気、性格、体格、年齢…つまり個性が際立つからなのでしょうね。

Sohan
  お茶事の楽しみの一つはお懐石。粗飯を…なんて云いながら、出てくるものは大御馳走でした。美味〜!

Ro 
  炉淵(炉の周りにある枠=ろぶち)は鶴の金蒔絵。写真には写ってませんが、使用した香合は亀の形の清水焼でした。鶴亀に、みなさんの健康と長寿を願って、という心遣いが感じられます。おめでたい。

 Otsukare席入りから最後の片付けまで、6時間あまり。楽しかったけど、さすがに疲れました……沈没。

2007年01月25日

冷やかし? 勉強?

Musenpart
むっ、何じゃこりゃ?!

Musen2
わぁ、きれい。。。

Musen1
すご〜い。迫力ですね−!


 私はよく呉服屋さんを美術館兼憩いの場所にさせてもらいます。キレイなもの見て、お茶飲みながら楽しいおしゃべり。そしてちょっぴり元気になって帰ってゆく…。まぁ、これを「冷やかし」と云う人もいるかもわかりませんけれど。へへへ。
 また少々疲れ気味だったので、目の保養でもさせてもらおう、と呉服屋さんに立ち寄りました。その時に目の端がとらえたのが、どこまでも深くて吸い込まれそうな紫。梨地の絹を丁寧に染めてある逸品。反物を広げてみれば…おぉ、また柄の構図や色使いもたまりませんね。糸目をおいて、しっかりとした輪郭をつけたら、さぞキツイ印象になるでしょう。それを濡れ描き(無線友禅)で仕上げているので、ピシッとしていながら、ちゃんと優しさも内包しています。実に美しい。どんな方がお召しになるのか、着姿を想像するのも楽しいです。

 「遊んできませんか」
 ニコニコと着付けの準備をする店員さん。私が買わないのを百も承知で楽しませてくれる。懐が広い! 良い店の余裕と云いませうか、貫禄でしょうな。

Musentrial
うぁ〜、ステキ。でも私、完全に着物に負けてます。

 見て良いもの。実際に身にまとって良いもの。好きなもの。似合うもの。それぞれですよね。そのギャップをどう埋めてゆくか、というのも着物道楽の醍醐味の一つかもしれません。自分に似合うものだけで完結するのではなく、着たい着物のレベルまで、どう自分を高めてゆくのか。どう年齢を重ねてゆくのか。それはどう毎日を過ごすかという問いであり、つまりは生き方の選択でもあるのでしょうね。恐るべし、ザ・キモノ〜虎の穴!

2007年02月09日

CHICAGO

Chicago 2月8日〜3月4日、日生劇場にて上演のブロードウェイ・ミュージカル『シカゴ』。初日の今日、さっそく行ってきました。
 やたらと爆音を轟かせ、過剰演出された昨今のコンサートなどに慣らされてしまっているせいか、舞台の幕が上がったときは「こじんまりしてるな」という印象を受けました。ところがどっこい、生バンドの演奏と共に俳優たちが歌い踊る姿は圧巻。プロフェッショナルのプライドが炸裂しまくりで、アメリカン・ショービジネスの層の厚さに脱帽です。
 映画の『シカゴ』も面白かったけど、やはり生の舞台はいいですね。お鍋の中のスープがだんだんグツグツと音をたてて美味しくなってゆくように、演じる側も観客も熱が増すにつれて絡み合い、馴染み、一体となって深まってゆく。元来ミュージカルがすごく好きというワケではないんですが、これはアートです。
 ずいぶん昔に従姉妹に連れられて観に行った映画『オール・ザット・ジャズ』。まだ小学生だった私にはよく理解できなかったけど、何か興奮する「衝動」みたいなものを感じ取ったのを覚えています。その時に垣間見たボブ・フォッシーという人の怨念が今も力強く脈打ってるんですね。
 『シカゴ』は、スターを夢見る女が殺人を犯し、そのスキャンダルを利用してのし上がる…という筋。彼女は無罪を勝ち取るために正当防衛だったと主張するのです。
「あの男は拒む私に執拗に迫り、そして無理矢理キモノをつかみ…」と、そのときの様子を語るシーンでは何度となく【キモノ】という言葉を口にします。もはや【キモノ】は世界語(?!)なんですね。たぶん西洋人にとってはオシャレなガウンみたいな感覚なんでしょうけど、それでもなんだか嬉しいな。

2007年03月04日

花盛り

 3月3日。土曜日、晴天、うららか。好条件が重なったせいか、着物姿の女性をたくさん見かけました。渋谷、新宿、青山、目白…場所を移動しても見たということは、かなりの率だったのでしょう。まるで春の花が咲いたように、パッと周囲を明るくしていました。その方の年齢に関わらず、それぞれの美しさを楽しめるというのが素晴らしいですね。
 流行の兆しなのか、絞りの羽織が多く目につきました。それも、一時ブームになったようなゾロリとした長羽織ではなく、軽やかな、ちょうどお尻が隠れるくらいの丈のもの。もちろん『絞り』という性質上の理由。さらには絵羽の羽織用に作られたものに対して大柄の女性が増えたことなども、丈を決める要因なのかもしれませんが。
 私はといえば、忙しく駆けずりまわり、残念ながら着物はパス。花粉でグシュグシュになりながら、かなりミジメな心持ちで道行く女性たちを見遣っていました。すると雑司ヶ谷の路地裏でのこと。目立たぬ駐車場の片隅で満開の桜と遭遇。ソメイヨシノではないものの、自分だけの一足早いお花見だ!

Sakura

 これまた自分だけのひな祭り。朝食には菜の花ご飯を用意しました。我ながら美味でした〜。

Nanohana

さて、お知らせです!!
amamfwawaでもすばらしい腕を奮っているニット・アーティストの笠間綾がNHK[「おしゃれ工房」に登場します。ぜひお見逃しのないように
☆〜色で遊ぶニットストール〜  笠間綾
「おしゃれ工房」4月号 3月16日発売 定価500円(税込み)
☆また4月4日には教育テレビ 午後9:30〜9:55 放送予定

☆笠間綾 
 http://www.amamfwawa.com/about/
 http://www.members.aol.com/ayakasama/homegrown.html

2007年03月20日

キモノでゴジラ

 熱心にお稽古はするけど、なかなか着物で外出しない。そんな人も少ないようですね。たしかに始めの一歩を踏み出すまでは、勇気や気合いを要するものです。でも本当に最初の「えいっ!」という勢いだけなんですよ。一度馴れてしまえば何てことありません。
 …といっても着て行く場所もないし〜、なんて云わないで!
 いよいよお花見シーズンも始まります。大宴会でなくても、着物でフラリと春を愛でながらのお散歩もステキですよ。きっとお洋服で歩くのとは違った景色が見えるはず。

 Godzilla

 私のところに習いに来ているガールズも張り切っています。せっかくだから、ちょっと気分を変えてみようと、この日は帯を『つのだし』に結ぶ練習をしました。途中で疲れて、こんな姿のままウロウロぎこちなく歩き回っていると、ゴジラみたいで可笑しいやら可愛いやら。♪タララッ、タララッ♪って歌ってみて。ほら、背びれやシッポに見えてきませんか?

2007年04月01日

おしゃれ工房♪

 NHK「ミュージックプラザ」でも報告しましたが、3月28日(水)は朝から教育テレビでおなじみの【おしゃれ工房】の収録に立ち会ってきました。
 amamfwawaで一緒に活動しているニット作家&テクニカル・デザイナーの笠間綾(かさま・あや)がニットストールを提案するという企画。その中で、実は和のニットも作ってるんですよ…ってことで、amamfwawa製品も紹介されました。
 ボディ2体にキモノを着つけるために、amamfwawaスタッフの法眼&私も参加することに。みんなが打ち合わせやリハーサルをしてる横で、せっせと無言で着つけるのは楽しくも不思議な経験でした。いつも「しゃべり」を要求されるのに、その日は黙々とひたすら着付けに専念。自分の立ち位置が変ると、番組作りがまた違って見えてくるようでした。恋も仕事も…あらゆることに対し、視点を変えてことが如何に大事かを再認識。

Kitsuke
 人間に着せるよりもボディは難しい。人間の自然な凹凸や肉の弾力があってこそ、平面の着物は美しく仕上がるのですね。

Oshare1
 まずはこんな感じ!
左は桜と藤が咲き乱れる小紋。袋帯でちょっと重めの、よそ行きコーデ。
右は無地の紬に半幅帯。半幅でも丁寧に織ったものなので、カジュアルながらも安っぽくならず、ポップな大人の遊び心が覗きます。

Oshare2
仕上げにamamfwawaのニット羽織を着せて…できあがり!
 法眼&マユコが力をあわせ、二人三脚での着付け。いかがでしょうか。

この日の様子はamamfwawaブログにも載っています。

そしてこの日の主役、笠間綾のサイトかさま あやDiaryもチェックしてみてください。
                                                  

〜色で遊ぶニットストール〜  笠間綾  
NHKテレビテキスト「おしゃれ工房」4月号 3月16日発売 定価500円(税込)  
NHK教育テレビ「おしゃれ工房」 4月4日(水) 9:30PM〜9:55PM 放送予定

2007年04月10日

どうする? ポリエステル?

 「お花見2007」の記事に、ポリエステルの着物に関するコメントを頂きました。これは着物好きにとっては思案のしどころかもしれませんね。実は私も迷うところが無いわけでもありません。ポリか絹か。着物に何を求めるのかで、大きく受け止め方も変わります。
 着心地や風合い、職人の技、仕上がりの美しさ、伝統などを楽しみたいならポリはオススメできません。それよりも扱いやすさ、ランニングコストなどを優先するなら良いと思います。

●ポリの良いところ
1. メンテナンスが楽。洗濯機でガンガン洗えて、アイロンも必要なし。
2. 縮み、色あせの心配がない。
3. 安価なものが多くある。

●ポリの困ったところ
1. 夏は暑く、冬は寒い。
2. 静電気でバチバチになりやすい。
3. 本物の織りや染めに比べて深みがなく、ペタッと見える。

●正絹の良いところ
1. 身体に馴染み、着心地が断然良い。
2. きちんと洗い張りをするとパリッと新品同様に蘇り、長くつきあえる。
3. 何といっても、美しい!

●正絹の困ったところ
1. 洗濯は専門家に任せた方が安心。よってお金がかかる。
2. 濡れると縮む心配あり。天気予報は見逃せない。
3. 値段は、上を見ればキリがない…。

 日常的に着物で過ごしている、または着なければならない方は、用途や状況で素材を選べた方がよいでしょう。けれどたまの「おしゃれ」や「気分転換」で着るなら存分に良さを味わえる正絹よろしいかと思います。また、絹に限らず色々な天然素材を楽しんでほしいです。
 さて、ポリと絹の間でどうにも結論が出ない場合は、両方の良いとこ取りをするのはどうですか。川越唐桟、久留米絣、会津木綿…etc。木綿の着物も種類が豊富です。そして盛夏には麻。どちらも家で洗えて気軽に楽しめるのが良いですよ。ご参考までに、天然素材は他にも和紙、藤布、しな布、パイナップルの繊維など、もっぱら帯に使用されることが多いですが、いろいろあってビックリしちゃいます。
 ところで、最近はポリの着物も技術の進歩で以前の安っぽさはかなり解消されているようです。加えてポリエステルという素材に小さいころから慣れ親しんでる世代は、年輩者よりも抵抗感なく受け入れられるのかもしれません。ただし、同じポリでも善し悪しがあるようです。それが何であれ、「値段は正直」ということに変わりはないのですね。
 ちなみに私はポリエステルの冬用の袷、春秋用の単衣、夏用の薄物をそれぞれ一枚ずつ持っています。あまり使用頻度は高くありませんが、何かの時に持っていると便利です。

 最後になりましたが、コメントを下さったとみ徳さま。男性用の商品がどのぐらいあるのか、お値段の相場など、勉強不足で申し訳ありません。ただ、お客の気持ちも汲み取らずワーワー買え々々攻撃するようなとこは良いお店ではないと思います。シレッと下見をするならデパートが良いかも。買う買わないはともかく、ちゃんとモノを見て、説明を聞くなり、吟味するなら専門店がよいでしょう。本当に良い呉服屋さんは購入商品で客を値踏みしたり、無理に押し売りしたいしないはずです。

Ooura
Poly

 染め物風に仕上げたポリエステル素材と、本物の染めを施した絹物。2つの違い、分りますか? 写真では分りづらくても、肉眼ならすぐ見分けがつくと思います。さらに袖を通せば違いは歴然です。

2007年04月13日

夢の越後上布

 Rakufu_1

 今日から3日間は呉盟会のご奉仕展。字の通り、沢山の呉服屋さんからなる呉服連盟会。その呉盟会が年に2回、一同に会して売り出しを開催します。お店の枠を越え、一つの会場に在庫を大放出するのです。お店にはそれぞれの好みといいますか、カラーがあるので私たちは自分に合ったお店の顧客となります。けれどたまには気分を変えたい。イメージを一新してみたい…でもなかなか行き馴れないお店には入りづらい。そんなこと、ありますよね。呉盟会はたくさんのお店をチェックする良いチャンス。
 1、2万円の大特価〜高級品までいろいろ出品されています。うまく掘り出し物を掴めればラッキー!そんな中、一目で心奪われた品がありました。触ってみると、しなやかで、吸い付くようにしっとりしていて、それでいてベタつかずサラッとしている。
「それはお買い得ですよ。これだけの品はなかなか出ないんですけど、目玉といことで半値になってます」と、売り子さん。
 白地に茄子紺の絣が入った麻の反物。越後上布。お見事。半値かぁ。。。
うわっ、値札を見て思わず声が出ちゃいました。
 ¥2,550,000→ ¥1,200,000 …たしかに半値には違いない。
一体どんな方がお召しになるんでしょうね〜(嘆息)。

Rakufuu2_3
Edokomon_1
呉盟会の前に仕事がありました。雰囲気的にあまり「ザ・きもの」じゃない方がよいかなと思い、スーツ姿の中でも馴染むような色合いの江戸小紋を選びました。パッと見はベージュの無地ですが、細い緑と小豆色の縞です。洋服感覚ということで、帯揚げはヒョウ柄のスカーフを使用。

2007年05月14日

出雲織

 「ビバ東北」にて、秋田・青森で味わった感激を書き綴っておりますが、どうもすぐに脱線してなかなか進みません。青池から藍染めを連想したので、今回もちょいと寄り道します。

 染織り作家・青戸柚美江さんの傘寿(80歳)を祝う集いが先月ありました。そこで出会ったのが【出雲織】と呼ばれるもの。藍染めを基調としたものは沢山ありますが、出雲織…正確には青戸さんの作品の優しくて強い魅力に夢中になりました。

Izumoori
 素朴で穏やかななのに、ずっと深いところにはグツグツと煮えるような激しさを内包してる作品の数々。中でも私が一番惹かれたのがコチラです。

 日本の歴史と知恵と美が濃縮された着物ですが、残念ながらその原料となる絹や綿のほとんどは輸入に頼っているのが現状です。しかし青戸さんは染めや織りだけでなく、綿花を育てるところから始められるそうです。収穫した綿から糸をつむぎ、それがやがて膨大な行程を経て反物に仕上がってゆく。実に気の遠くなるような話です。
 今回の集いで、青戸さんは結婚された当時のお話も披露してくださいました。親が勝手に決めてきた結婚。相手の顔さえ知らぬままに嫁ぎ、毎日を必死に生きてきたら、アッという間に月日が流れていたそうです。その「アッという間」の陰には並み成らぬご苦労もあったと想像します。でも日々を懸命に生きる姿は、作品を創る姿勢にも繋がっているように思います。
 生地を触ると、しっとりとやわらかく、フワッとしていながら適度な重量感もある。自然と人間の交わりの中で生まれた布は力強く呼吸をしているのですね。「出所」も「行程」も見えにくい「加工品」に埋め尽くされている現代生活を送る中で、青戸柚美江さん、及び作品に触れることができたのは大きな刺激になりました。

Hasuito
 ちなみに青戸さんは綿のみならず「藕絲=ぐうし」も手がけています。蓮の茎を折って引くと、蜘蛛のの糸みたいな細い繊維が出てくるそうです。藕絲はこれを紡いで作るのですが、40キロからわずか2gしか採れないとか。

2007年06月13日

夏だ、浴衣だ!

 Yukatamatsuri  パニーニ? ラザーニャ? いえ、ラニーニャでございます。このラニーニャ現象とやらで、今年の夏は猛烈な暑さに見舞われるとか。うぇ〜。これはしっかり根性をすえて覚悟をしておいた方が良さそうですね。
 そんな中、今年も浴衣市場は活気があるようです。毎年4月の半ばを過ぎると、ボチボチ新柄などをチェックしつつ夏の構想を練ります。とは云え、なかなか実感は伴わず、梅雨を過ぎてから慌てて仕立てたりするんですよね。ところが今年はもう着てもいいぐらい。実際ちょいとそこら辺までなら着てますし…。本来は7月8月に着る浴衣ですが、単衣の着物同様、今後は浴衣のシーズンも長くなるかも?!

Hanhaba

 おっと、見つけてしまいました。この麻の半幅帯はリバーシブルになっていてちょっと面白いかな、と衝動買い。それにしても¥3900のカットソーはすごく悩んでも、どうして¥15,000の半幅は迷わず買えるのだろう? 着物バカ。

2007年07月22日

着付けのポイント

 夕方、ちょっと外の空気を吸いに散歩にでました。渋谷の駅の方まで足をのばしたら、あらら、浴衣姿の女子たちで大賑わい。今日はどこぞで何かイベントでもあるのかしら?いいですね。華やいでますね。つっかけ姿でブラリの自分がちょっぴり寂しく感じたりして。…ま、いいか。どうせ今日はお出かけモードじゃないし。宿題たまってるし。

Eri Eriopposite_1


 
 ところで、せっかくのカワイイ浴衣姿なのに、左前の人がかなり多かったのがザ・ン・ネ・ン!!それ以外はステキに着こなしているのに…。要するに上前と下前を逆に着付けてしまってるんですね。左前は死人です。あえてタブーに挑むという気骨をもってしてるのならご自由ですが、そうでないなら気をつけたいポイントですね。カンケーないじゃん、細かいルールなんてウザイと片付けないで。どうせなら、縁起が悪いよりは良い方がいいじゃないかなー。

2007年08月11日

墨流しと職人魂

 「墨流し:すみながし」とは水面に染料を落とし、できた水のうねりのような模様を布に写し取る染めのこと。あまり最近では見かけませんね。青木玉さんの著書【着物あとさき】にも、お祖父様の紋付を墨流しに染め変えて生き返らせたというエピソードが綴られています。私もそれを読んで以来、ちょっと気になっていました。
 先日フラリと立ち寄った呉服屋さんで墨流しの反物を発見。生地は綿紅梅なので浴衣にするのが妥当ですが、せっかくなので広衿仕立てにして、ちょっとしたお出かけにも対応できるようにお願いしました。
 はっきり云ってバカですね。仕立て屋さんがハイシーズンにつき多忙であることと、お盆休みで作業が止まるために、出来上がりは8月の終わり頃になることを覚悟しなくてはなりません。こんな時期に浴衣地を買っても、着られる回数は限られます。
 ところが、なんと!!昨日「出来ました」との連絡がありました。うそっ、中3日ぐらいの突貫作業ですよ。せっかくなら何度でもお召し頂きたい、と職人さんがフル稼働で頑張ってくれたそうです。さっそく今日、品を受けとりました。どんなに急ぎ仕事でも丁寧な仕上がり。そのアッパレな職人魂に大感激です。プロフェッショナリズムとサービスと意地と真心のスクラム。すばらしい。

Suminagashi
そんなワケで、明日の観劇にはコレを着てゆきましょう。おニューの着物には、これまたおニューの粋な黒扇子。はて、帯も渋く攻めるか…それとも甘さをプラスするか…。

2007年08月25日

ハードルは高いのか?

 8月24日。諸用のためにamamfwawaスタッフと合流。つい先日開催された某パーティーに出席したR氏は、多くの女性たちが多大なる感心や憧れをキモノに対して抱いていることを確信したという。しかし何かが、彼女たちを「無理」という気持ちにさせているらしい。浴衣ぐらいならOK。でも「キモノ」となると話は別。ガラガラガラっと、現実が憧れの前でシャッターを降ろしてしまう。
一体その現実とは何なのか?
 先入観? 高い。面倒くさい。手間がかかる。不自由。大変。時間がない…。たしかに、どれも正しい。同時にどれも正しくない。洋服だろうが、車だろうが、家だろうが、食べ物だろうが、なんでも幅がある。その幅の中から自分サイズを選ぶだけのことなのに。実際に触れて、体験してみれば納得できることなのに。もったいない。朝、ワードローブの前で「今日はワンピースにしようか、それともジーンズかな」と迷う贅沢に、キモノという選択肢が増えたらもっと楽しいでしょうに。
 
 とある和装問屋の休憩室にて、そんなディスカッションに熱がこもった。そして目の前のポスターに気付く。京都の舞妓さんや、「いかにも」なハンナリ女性の写真。これもいけないんじゃないか?!キモノの良さを表現しようとするあまりに、イメージを限定してしまう。要はキモノ自体が不自由なのではなく、それを取り巻く人々の意識が不自由なのではないかしら。
 呉服業界だけでなく、音楽でも出版でも何でも、発展に向うテンションと同時に真逆に働くテンションとの引っ張り会いが生じるように思う。だからこそ、個人レベルでは限りなく自由でありたいのかもしれません。
 明日は久しぶりに夏塩沢でも着てみようか。それとも上布(麻)にしようか。ま、天気と気分で決めればいいか。
 discussion.jpg 夏衣を存分に楽しもう。いくら暑くても、夏は永遠に続かないのだから。  

2007年08月26日

晩夏

 浴衣が欲しいんです!と、Kさんが飛び込んできたのはお盆の少しまえ。職人さんたちは夏休みに入っちゃうし、仕立てるにはやや遅いかなと思いつつ、それでもせっかくなら後悔のないものを手に入れて欲しい。そんな思いを抱いて、いざ呉服屋さんへ!
 その時にお見立てしたのが、こちらです。夏が終わる前に出来上がって本当に良かった。着付けレッスンを受けて、そのまま「麻布十番のおまつりに行ってきます!」とハジける笑顔で出かけてゆきました。

kyukata.jpg

 色が白くて華やかなイメージの彼女は、くすみの無い色がよく似合います。軽さを大事にしつつも、安っぽくならないように注意しました。生地は綿絽(めんろ=ポツポツ穴があいたような、独特の隙間が織り目にできています)。淡いピンク地に草の藍色が生むコントラストを、黄色の花が和らげていてキレイですね。
 帯はあまり古典調にならないものを選びモダンに。しっかりと織った博多帯なので締めやすく、だらしなくならないのがポイントです。

 mukuge.jpg
 厳しい残暑のなか、セミたちが全身で鳴いています。死ぬまでを鳴いているのか。生きている間を鳴いているのか。
セミの形に編んだ花かごにはムクゲの花。廻る季節にハレルヤ。

2007年12月03日

東三季

 amamfwawaフェア@東三季は明日までです!
 
 東三季さんのセレクトによるステキなキモノや小物たち。冬のお洒落のアイディアが広がったら、そこにニットを足してみませんか。新しい楽しさと暖かさが見つかるはずです。
 今シーズン初登場のマントは男女兼用でお召し頂けるデザインになっています。
そこで男性用の着尺と帯に合わせて展示してあります。写真では色みや風合いがちゃんとお伝えできないので、ぜひ一度実物を見て頂きたいです。皆さまのお越しをお待ちしています!

        men%27s.jpg
BELL(マント)。色は写真のdeep brown の他、snow whiteがあります。

東三季:東京都港区南青山4−28-25
TEL&FAX 03-3498-5600

http://silkandzen.co.jp/tousanki/"

2008年01月10日

岩井先生に所作を習う

 1月10日

 晴れてよかった。今日は朝から靖国神社内にて雑誌用の撮影でした。寒かったけど、とても楽しくてはり切ってお仕事ができました。ご一緒したのは日本舞踊・岩井流家元であり、女優の岩井友見先生です。
 今回は美しい和の所作を岩井先生に習うという企画。こんなラッキーなチャンスはありません。思い切り「素」になって教えて頂きました。キモノの美しさを引き立てるのは、着ている人の立ち居振る舞いです。歩き方、座り方、おじぎ、車の乗り降り、バッグの持ち方、ふすまの開け閉めなど、あらゆるところに「美」は潜んでいます。それを引き出さない手はないですものね!
 ちょっと先生にアドバイスをして頂くだけで格段によくなってしまうんです。自分ではけっこうイケてるつもりでいましたが、「つもり」とは恐ろしいものです。詳しいことは紙面で!

 岩井先生にあれこれ教えて頂いたことも大きな収穫ですが、それ以上に目標にしたい憧れの存在に出会えたことが嬉しいです。妥協を許さず、お仕事に対する徹底した姿勢。ピシリピシリと的確な指示を出し、現場を導いてゆきながら、それは決してイヤな緊張を強いるものではないのです。場を引き締めながら和ませることを忘れない…なかなか出来ることではありません。そして現場にいる一人一人に気を配り、全員が「参加」しているという気持ちになれる。もちろんそんな先生の元には素晴らしいスタッフが集まるものです。皆さんがプロの仕事を見せて下さいました。本当に今日は高純度のエネルギーを注入して頂きました。先生、そしてスタッフの皆さん、有り難うございました。

 もう一つ嬉しかったこと。お昼に大好物、「八竹」の茶巾と穴子寿司が出たこと。実はこれも岩井先生が手配してくださったもの。先生のポリシーは「撮影のときは、ちゃんと食べて、しっかりいい仕事すること」。素晴らし過ぎますぜ!

主婦と生活社『40代から、もっときれい』Vol.13
2008年3月6日(木)発売予定

       iwai-sensei.jpg

2008年02月28日

ガールズ・パーティ

2月28日

 昨日(27日)NHKの生放送後、空腹を抱えたまま次の打ち合わせに。途中で何か食べようかとも思いましたが、お茶のお稽古に出席したかったのでグッと我慢の子であったのであります。と、と、と!神は我を見放しはしせなんだーっ!

 おひな祭りを前にお茶室はガールズ・パーティルームと化していました。床の間には可愛らしいお人形さんたち。そこには手作りの茶巾寿司や桜餅など、ごちそうも供えられています。お軸も、もちろんお内裏様&お雛様の仲良しカップル。そんなラブリーなしつらえの中でのお稽古。ルンルン♪疲れも癒されますね〜。
 そして。
「さ、さ。今日はこの辺にして、ご飯にしましょう」と、先生。
「ん? ご飯?」キョトンとしている私を尻目に、みんなはサッサと準備を始めました。うわー。ごちそうだ。

       gochiso.jpg
 仕事とはいえ、私が遅刻している間にこんなステキな宴の準備が整えられていたのです。あぁ〜、空腹に負けずに駆けつけてよかった〜。神様、先生、そして準備のお手伝いをしてくださった同朋よ。
さんくす、心から。

       hina.jpg
 先生と一緒にごちそうの準備をしてくださったSさん。お稽古を始められたのは、実は私よりずっと後…なのに。とても熱心にお勉強をなさっていて、もうすっかり先行く先輩です。
 羽子板、毬、ひょうたん、おもちゃなどの胸キュンなアイテムを散らした小紋のキモノがとてもお似合いです!無理矢理「鈴なり」に登場するのを承諾して頂きました。

2008年03月13日

富田林〜 雛めぐり

3月13日

 9日、日曜日。ちょうど12時ごろに新大阪に着く。御堂筋線で天王寺まで行き、さらに近鉄線に乗り換え富田林に向う。新幹線の速度に慣れた目に、ローカル線からの景色は心地よく流れてゆく。春の麗らかな陽射しがじんわりと体を温めてくれる。ふっと眠りの国に吸い込まれそうなるが、頭の半分は見知らぬ土地を行くときめきと緊張で、ピリピリと覚醒している。実にハイボールなサンデーアフタヌーンである。

        jinaimachi.jpg
 富田林に降り立つと、細い道を挟んだすぐ向こうに雛めぐりを開催している寺内町がある。コースマップを配るお嬢さんたちのキモノ姿にテンションも上昇。

dolls.jpg あちこちに惜しげも無く、雛人形が展示されている。

 本屋さんの店先でも… bookstore.jpg

origami.jpg これだって立派なおひなさま。
      oshiruko.jpg
 甘味処も店を開放。他にも普通の民家が車庫にイスをならべて喫茶店をやっていたり、町内全体が学園祭っぽいノリに包まれていて楽しい。しかも安い!キャベツ焼き=100円、オムライス=400円、とかね。

mice.jpg 年男、年女?

 なんかモダン…。 ceramic.jpg

 番組でも報告しましたが、なんといっても町のおおらかさが嬉しかった。ほとんどの家の玄関は開け放たれたまま、訪れる人たちをほがらかに迎え入れてくれる。こちらが恐縮するほど自由。まったくノーガード。明日のジョー。散歩してるだけでもノンビリと気持ち良かったのは、春の暖かな陽射しやキレイなお雛様だけでなく、きっと人を信頼しているという空気と、そして地域の結束やプライドなのかもしれない。
 東京に住む私には、その無防備さがくすぐったくもあり、また懐かしい。子供のころ、わが家も開けっ放しだったのが思い出された。ご近所さんが「いる〜?」なんて云っては、勝手に入ってきたものだった。

    hina.jpg

 

2008年03月17日

白椿と白大島

3月17日

 去年はほとんど花をつけずに寂しい思いをしたけれど、今年の白椿は賑やかである。性格がいい加減なので、剪定や肥料の加減などは勘、或いは気分に頼りがちだ。植物にしてみれば、実に迷惑な話だろう。それでもしっかりとその美しさ、その生命力を惜しげもなく見せてくれると、ただただ心を深くするばかりである。

       tubaki.jpg

 花の白さを眺めながら、何を着ようかと思いめぐらせてみる。凛とした紺色のキモノに、白地の塩瀬の染め帯でパチッとさすのもいい。あくまでも柄はすっきりとしたものに限る。反対にキモノを白くするのも潔い。そうだ、白大島にしよう。母が着ていたという大島。白地にうっすらと浮かぶ水色の絣は、まるで花びらにさす陰の深み。こんな具合に目は花を愛で、気持ちは箪笥の引き出しを開け閉めしてしまう。私にとっての贅沢かつ楽しい時間だ。
 ところで大島紬は花粉症の人にぜひオススメしたい。独特のすべりのよい風合いは花粉や黄砂を抱え込みにくいように思う。そしてせっかくキモノでおしゃれをするならマスク無しで歩きたいものだけれど、こればかりはどうにもこうにも…とほほ、なのである。
    

2008年03月23日

桜、開花とお召し

3月22日
          shirotaka.jpg

 ちょうど今年初めて桜の帯を締めた今日、東京では桜の開花が発表されました。濃紫の縮緬にたっぷりの桜が咲いた染め帯に、キモノは白地に黒の絣を配した白鷹お召しです。

 お召しといえば…。今日はなんだか心の中にも花が咲いたような、瑞々しい気持ちです。というのも、とてもステキなお話を聞くことができたからです。
 とあるお家で息子さんが急遽、結婚することになったそうです。「急遽」というのは、つまり結婚を早くしなければならない事態が発生したからです。そこで両家の初顔合わせとなる食事会が開かれることになりました。さぁ、困ったのは母親です。何を着ていけばいいものやら。あまりカジュアル過ぎてもいけないし、ドレスもどうか。ならばキモノか?それにしても相手方がどんな具合が分らないので、あまり華美なものも避けたがよかろう。そこで母親が選んだのは質の良い、上品な本塩沢でした。
 さて、着るものは決まったものの、やはり気持ちは重い。「おめでとうございます」と手放しに喜んでいいのか、それとも「この度は息子がとんだ失礼を」と謝るものなのか…どう切り出せばいいのかが分らない。しかし分らないまま、その時はやってきてしまった。
 すると思いがけず、先方の母親が気持ちよく場をリードしてくれて、両家仲よく式の段取りなどを決めることができました。ホッと安堵しながらも、どうしても気になり、別れ際に尋ねたそうです。
 「今日はどうご挨拶して良いのやら分らず、実はとても気重でした。それを快く計らっていただき感謝しています。それにしても、何故…?」
 「あなた様がお着物でいらしてくださったからです。お召しになっているものを拝見し、どれほど気を使ってくださったかが分りましたもの。これほどにお心遣いのある方なら、娘をお任せして大丈夫だと安心しました」
 この話を聞いたとき、私は深く胸を打たれました。母親同士の気配りのなんと行き届いたこと!息子さんのお母様も素晴らしいですが、その気持ちを瞬時に汲み取った相手方のお母様もまた立派ですね。
 キモノは単なる衣服だけでなく、また単なるファッションだけでもない。その人の内側を映し出す鏡。何を着るか、どう着るか…。奧の深さは果てがありません。

 

 

2008年04月04日

すてきな人

4月3日
 
 4月になりました。こんこんと沸き出る泉のように、降りしきる桜の花びらには果てがないような気がします。近くに木が見あたらなくても、風が吹いてなくとも、それでもどこからともなくヒラヒラ、ヒラヒラ、花びらが舞うのです。美しく、儚く、それでいてそこはかとない、したたかさのようなものを嗅ぎとってしまうのは何故か。正体不明。ひらひら、ひらひら。しなしなとしたピンク色の煙に巻かれる午後。夢見がちな季節。

    front.jpg

 キモノ美人に出会いました。型染めの総柄のキモノを上手に、うるさくならずに着こなされているのがステキでした。限りなく黒に近い、しっとりとした墨色の羽織とよく似合います。無地の黒でも暗くならないのは、品の良い赤い羽裏のせいでしょうか。袂(たもと)からチラリと覗くのがオシャレですね。この羽裏は祖母様が使っていたものだそうです。たいていは表地が先にあって羽裏を併せますが、裏からイメージを広げてゆくというのも楽しいですね。そして背中の洒落文がピリッと味の効いたアクセントに。

                   haura.jpgemblem.jpg


 

2008年04月07日

遊び心

4月7日
 

 夕べは新月。月明りに邪魔されることもなく、春の湿りにモヤモヤした星がまたたいていました。のんびりと夜の散歩がとても気持ちよかったです。闇の中に顔を出したばかりの新芽たちが浮かび上がり、しなしなと柔らかな体で懸命に呼吸しているのが聞き取れるようでした。東京は桜もだいぶ葉っぱが目立ってきました。これからどんどん街は緑に染まってゆくのですね。

 さて、こんな手拭いを頂きました!
           tenugui.jpg

 パッと見は、大胆な縞模様が粋だわね…と思うだけでしょう。でも、白い部分との境目のところで斜めに折ってみると……

 あら、不思議! まるで袴(はかま)をつけたみたい!
           hakama.jpg


 ピクニックはもちろん、いつものお弁当も公園のベンチで頂いたりするのが楽しい季節到来。ひざかけに、こんな手拭いを使うのも面白いと思いません?きっと会話もはずんで、お弁当タイムがさらに美味しくなるでしょう。

 *手拭いは、渋谷の道玄坂上にある、玉川屋さんのご提供です。

2008年05月25日

キモノ・スクランブル

5月25日
 
 まるで梅雨の只中のような蒸し暑い一日。風薫るさわやかな5月の心地よさをもう少し味わいたのですが… ふー。

 着付けのお稽古の後、生徒のKちゃんと坂の途中で信号待ちをしているときのこと。坂の下から結婚式帰りとおぼしきご夫妻があがってきました。ご主人は上着を手に持ち、奥様は黒留袖で汗を拭き々々、ごくろうさまです。すると坂の上から和装の男性が颯爽と歩いてきました。ドッシリと重たい袷(あわせ=裏地のついた冬もの)の黒留とは対照的に、男性は麻の着物で軽やかなことといったら…!

 本来、10月〜5月は袷の時季。麻は7.8月の盛夏の着物。その2種類が目の前ですれ違うさまを見て、Kちゃんはキョトンとしていました。着物ルールブックに忠実な方は混乱するかもしれませんね。でも、この場合はどちらも正解だと思います。
 
 正装の場合は基本ルールを守る。カジュアルな普段着やオシャレ着はTPOを優先。
 今日のような暑さなら、無理にルールを守るよりも、軽やかに麻を着ている方が周囲にも気持ちいいものですね! 結婚式に出られたご夫妻のようにフォーマルな場では仕方ありませんが、その日の様子と相談しながら自由にキモノを楽しみたいものです。
 ちなみにその直後、木綿の単衣のキモノに半幅帯を締めた女性とすれ違いました。季節のスクランブル交差点。キモノもとりどり、個性が表れます♪

 私はというと、単衣のキモノを製作中なんですが、これがまた大幅に遅れてます(焦っ!)。もう6月はすぐそこ。なのに、ようやく前身頃を縫っているありさま。袖もついてないので、超ロングベスト(?!)状態ぜよ。

これじゃ間に合わないこと確定じゃないのぉぉぉおお〜〜〜。
                 wasai.jpg

2008年06月10日

足元を見る

6月9日 

 午前中から薄暗く、時間の感覚が曖昧な、実に梅雨らしい一日。蒸し暑いような、肌寒いような、皮膚感覚すらも曖昧で、まるで『今日』という水槽の中にゆらいでいる水草にでもなったみたい。ゆらゆら。ふわふわ。このカンジ、けっこう嫌いじゃない。

 お昼を少し回ったころ、空がたまりかねたように雨を放った。皆が傘をさしたり、慌てて駆け出したりするなか、濡れることなど気にもとめないふうで立っている人がいた。歳のころは30代後半だろうか。入り組んだ柄のシャツに履き古したブーツカットのジーンズ。足には、これまたイイ具合に熟れた下駄。太く黒い鼻緒が、女物にはない力強い安定感を示していた。サングラスの下の瞳は何を見ていたのだろう。おそらく遠く…この街ではない、どこか。それにしてもカッコイイ男だったな。

 雨はいよいよ本降りになった。大通りを逸れて路地に入ると、初老の女性が歩いてきた。何とも品の良い着物姿。薄紫の紗合わせが彼女のセンスを物語っている。紗合わせ(しゃあわせ)とは生地の上に紗(うすい透け感のある布)を重ね合わせて仕立てたもので、下になっている生地の模様が透けて見えるため、独特の繊細なエレガンスがある。特殊なだけに、とても贅沢な着物である。なのに雨コートもなしにスッと傘をさしたもう一方の手で着物の裾を持ち上げているだけ。下着の襦袢と足首が覗いている。本来ならば下品に成りかねないのに、その仕草は艶かしくもあり、また初々しくもあった。

『足下を見る』と云うけれど、今日は魅力的な足元に釘付けの日だった。下駄の男性も、着物をたくしあげた女性も、それぞれのスタイルが足に出ていた。自分の世界にしっかりと立ち、そして歩いてきた足。残念ながら二人の顔は思い出せないが、あの足元だけは鮮明に焼き付いている。

   rain.jpg
もっと絵が上手だったよかったのにな〜…