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鈴なり・インタビュー アーカイブ

2006年09月29日

服部綴工房 1~綴れとは?

*インタビュー企画・第一弾* 
服部綴工房 京都市北区平野桜木町36-2

 これまで私はテレビ・ラジオといったメディアで沢山のインタビューや対談をしてきました。その経験を大好きな「和」の世界でも活かしたい。…ってゆーか、(そんな大袈裟なことではなく)いろんな人に会って、いろんなことを聞いてみたい、知りたい。そんなワケで始まりました、鈴なりインタビュー企画!
 今回は、綴れの帯一筋!服部綴工房の代表、服部秀司さんにお話を伺いました。思いがけず話しが盛り上がり、企画・第一弾にして超ロングインタビューです。なので、小分けにしてご紹介します。

鈴:こんにちは。宜しくお願いします。まずは始めの一歩ということで、「綴れ」とはなにか説明していただけますか。綴れが綴れであるという「綴れらしさ」や定義はあるんでしょうか。

服:これは実は難しい質問です。辞書ひいて、綴れの定義を調べれば、それは平織りです。平織りで縦糸が見えない組織を綴れ地といいます。縦糸が見えない時点でそれはもう綴れなんです。残念ながら硬くて締めにくいものも綴れと云われます。機械でジャンジャン織ってても綴れと云われるものがあります。だから「ほんとうの綴れらしさ」を知りたければ、いっぱい触って、沢山見て覚えてもらうしかない。

鈴:そんな機械でジャンジャン作られたものまで「本綴れ」なんてラベル貼って、高い値札つけられちゃうと困りますね。何か見分けるコツはありませんか。

服:爪掻き本綴れという形で説明すると、糸が色の変ってるところは全部織り返えしてるんです。色の変ってるところで回れ右、回れ左というかたちで部分部分を織っていきますので、透かしてみると穴があいてるはずです。これが「把釣孔=はつりこう」(把釣目という場合もある)。この穴があるかどうかが、爪かき本綴れの大きな見分け方です。ただこれは日本で織ろうが、中国だろうが把釣孔はあきます。しかし機械で織ったものには空きません。…あぁ、でも…。その後いろいろ頑張って、機械でも穴があくように開発したところもあるそうです。やっぱり難しいですわ、見る目を養わないとね。
*注・この辺の詳しい説明が《きものサロン》2006年の秋号p.192~193に載ってます。

Tuzure_1
右・ぼかしと縦に長い(棒状)の模様はとても手間がかかる/ 左・くっくり色分けされ、把釣孔もわかりやすい

鈴:いま中国とおっしゃいましたが、近頃は着物も中国産がずいぶん多いようですね。やはり国産の方が安全で確かなものというイメージがありますが。それとも、中国の技術も優れているし、今や「国産」というのはある種のブランドイメージに過ぎないんですか。

服:国産という本当の意味は、おそらく日本人が使うものを日本人が作っていて、それが継続の上で技術が上がってゆき、また守られてゆくという、想いの深さにあると思うんですよ。それを工賃が安いという理由で、最初京都でもまず韓国に持っていった。それで「韓国綴れ」というのが出来た。同時に大島なんかもそっちに行ったわけですよ。これ経済の理論でね。まず工賃が安いから向こうに行って、その国の国力が上がってくる…今度は当然お商売のことですから、韓国で請け負っていた韓国の親方は韓国人に縫わすよりも、より工賃の安いとこに持ってった方が儲かるわけですよ。だから技術が定着して練れてくるまでに、工賃という意味で中国に移るわけです。
一時期、韓国綴れというのが出来て、廃れて、また韓国綴れが出て来てるらしいで、という話になった。

鈴:えっ、どういうことですか?

服:つまりそれは中国産の韓国綴れ。今は中国も工賃が上がってきましたから。中国の親方はすでに北朝鮮やベトナムに織りに出してしまう。

鈴:なんだかすごい話ですね。ワケが分らなくなりそう。一体 made in どこ?って感じです。

服:問題は、そうやって利益のために仕事がどんどん工賃の安い方へ流れてしまうことなんです。せっかく技術を習って織れるようになった職人さんに、すでに仕事がない。その技術が練れていったり発展していく前にもう作れなくなってしまう。すごい勢いで進む国際化の、問題点の一つでもありますね。

鈴:ただ利益のために作られたものは、それを使ったときに使いやすいか使いにくいか、そういうところまで全く考えられてないんでしょうね。お料理でも何でもそうでしょうけど、心が感じられないものには奥行きも味わいもないような気がします。

服:そうかもしれませんね。国産でやってる場合は20年30年…長いことやってるわけです。自分の親の跡を継いでやってるとか。そうして技術も育つし、より質の高いものへと発展してゆく。利益オンリーとは根本的に違うから、やはり国産で作る意味は大きいでしょう。

〔熱く語ってくださる服部さんが、おもむろに帯を持ったかと思うと、パンパンと引っ張って、ピーンと張らせて垂直に立ててしまった! ひゃっ!〕

Standup_1

鈴:綴帯は触ったときに柔らかくてしなやかなのに、しっかりと張りがありますよね。
この「立ち具合」は質の高さの表れなんですか。

服:立ったからエライということはないけど、弾力性や撚りの具合でクタッとならない、腰があるという意味で、この立つというのは目安になるかもしれませんね。ただ注意すべきは、硬いということと、しなやかだけど腰がある、ということは違います。機械で織ったようなものでも、新しい硬いのなんかは天井までつきます。

〔すると今度は帯を扇子を畳むように、山谷山谷山…と屏風状に織りはじめて… またもや、ひゃっ!〕


服:ただ立たせるよりも、こういう動きの方が綴れの特徴がよく出ます。こんな風にバラバラバラっとやれるのは、やっぱり綴れ!振り袖の変り結びをされる場合も、パチッとしてほしいところはするし、それでいて巻くにはしなやか。

Hirahira_2


あはは、と笑いながら服部さんは、まるでハリセンでも振り回すように帯をヒラヒラ回転させて見せてくれました。すごっ。

                 つづく

2006年10月01日

服部綴工房 2~国産?

鈴:また「国産」という話題にもどりますけど、何をもってして国産なのか…それも実は曖昧じゃないですか? 貝なんかも、どっかで採れたのを、一度日本の海に撒いて「国産」と表示されちゃうし。

服:カニなんかは仕方ないけどね。国境線を歩いてりゃ(笑)。そりゃカニに罪はないよね。たまたまウロウロしてるとこ捕まっちゃったら「00産」にされちゃう。だからカニ的な国産というのと、松茸じゃ話がちがう。やっぱ丹波の松茸は歯触りがちゃうでとか、形は同じでもやはり向こう産のは香りがちゃうでとか。その土地で育ったものには、その土地の味わいがある。

鈴:あはは、ホントに。それにしても冗談はさておき、本当に「国産」というものに対して業者さんを信じるしかないですね。だってどこで染めた、どこで織った、じゃ糸はどこのものだ…って、キリないし。パーツ、パーツがバラバラだったらどの部位を拾って何々産とするかわかりませんもの。

服:あぁ、糸はもうねぇ…絶望的ですわ。糸も昔は日本で作って国産だったわけですよ。でも今は群馬と山形の松岡。その2件しか残ってない。で、こないだ松岡に行きましたが、工場の中のほんの一角しか動いてない。あの日本の軍艦を作っただけの…、戦艦大和を作るお金を稼ぎだしたほどの製糸工場は陰も形もありません。

鈴:そうなんですか。寂しいというか、残念というか。でも着るがわにすれば、良ければそれでいいわけで、そこまではこだわらないかな。じゃ、中国産の良い糸と、日本産の良くない糸を比べたらどうなの、ってことにもなるし。

服:お蚕さんも生き物だから吐き出す糸にもムラがありますね。すれば10個の中から選ぶのと10万個の中から選ぶのでは、沢山の中から厳選した方が結果いいわけですよ。国内で育てられてる繭は無いに等しいですから。ただね、やっぱり食べさせているものとか、いろいろあって、今の糸は大変弱くなってる。

鈴:昔の日本の糸はもっとしっかりしてたんですか。

服:昔の糸は手で簡単にちぎれなかった。それこそ生きた桑を食べさせて、日本の風土に合ってたし。だって松茸じゃないけど、日本の中でさえ、場所によって糸の質が変るぐらいだったんですよ。

鈴:すると、どこどこの生地はいいとか、好みがはっきり出ますよね。

服: それが今は全滅してますから。さっき「良ければいい」とおっしゃいましたが、今はもう着る人も分らないでしょう。善し悪しの比較ができないんだから。

鈴:いずれにしても蚕さんの体調だってあるし、出来にはその時々の優劣があるでしょうね。いいものは献上品になったりして、庶民の手には触れなかったんでしょうし。

服:そう。銘仙なんてのは初めて庶民が着られた絹物。いいものはほぼ全部外国に送られて、その外貨で軍艦作ってた。だから本当のお金持ち以外は絹の着物なんて着られなかったんです。

鈴:よく時代劇見てると、みんなが平気で雨に濡れたりしてて、昔の人はどうしてたの?って思うんです。いくら家で洗い張りをしてたとは云え。。やはり木綿やウールだったからでしょうか。

服:そうでしょうね、それと、平安時代の絵巻なんか見ても、お姫さまが傘をさしてる場面なんてないでしょう。植物染色の爺さんから聞いたんですが、染めるときに鉄媒染、アルミ媒染しますでしょ。あれはものすごい撥水作用があるんです。おそらく昔の植物染色品はとてもつもなく雨をはじいてたということらしいです。

鈴:う〜む、やっぱり同じ着物でも、今と昔ではいろんなふうに違いがあるんですね。

                      つづく

2006年10月02日

服部綴工房 3~職人の世界

鈴:ところで初歩的な質問ですが。実際、帯屋さん…つまり織屋さんは何をするんですか。糸は糸屋さんが用意してきて、織るだけなのか、デザインも担当するのか、どこまでが服部さんの仕事なんですか。

服:由緒正しい西陣の織屋のオヤジが何をするか。糸を買う手配をする。図柄は絵描きさんに描いてもらう。色は染屋さんに染めてもらう。織るのは職人さん、織り子さんに織ってもらう。それを問屋さんに持っていって売るというプロデューサー作業です。各セクションの人に発注することで、雇用が生まれ全体が産地として成り立つわけです。

鈴:うまい具合に地域がいいバランスで循環してるんですね。「循環」とか「環境」とか、そういった物事のサイクルを表す「環」という字…「わ」とも読みますよね。それは「和」の「わ」にも繋がると私は思っています。

服:そうですね。でも機屋のありようも随分変りましたよ。

鈴:たとえば?

服:一つ面白い話があります。綴れに限らず、昔はパッタンパッタンと帯を織るときは竹おさ(機織りで横糸を織り込むのに使う道具)を使ってました。竹おさと云うぐらいですから当然、竹で出来てます。とても風合いも良く織り上がるので各産地で使ってました。けれど今はほぼ全て金物に変ってるはずです。竹おさの竹の歯を作るおじいさんが辞めてしまったら日本全国から竹おさが消えたんです。日本全国、ただの一人が作ってたの。青森の裂織りのおばちゃんも、結城の産地の人も、大島の産地の人も、南の島の人も、ある日を越えて、全員が一斉に「竹おさがなくなった!」って叫んだんです。それまで、竹おさを作ってるのは日本全国でたった一人だったなんて誰も知らんかったんです。

Hata
渋谷の玉川屋さんにて。お店に持ち込まれた機をいじる石井社長。手を動かすうちに、つい夢中に!


鈴:もう竹おさで織ったものは無くなったままなんですか?

服:今一人竹細工のおっさんが出て来て、再び作ろうと練習してますが、今のところはまだありません。

鈴:まだ使えるようになるのにどのぐらい先になるか分らないんですね。当分かかるのか、それともやっぱりダメだったということになって、永遠に無くなってしまうか。

服:わかりませんね。特に綴れみたいに精密さを要求する織物なんかでは、相当にすぐれたものでないと使えないので。ですから今はやむなくステンレスの金おさに切り替わってますが、竹に比べて重たいから、風合いも違ってきます。

鈴:糸を寄せた時に重みでドスンとくれば、その分きつくなって、帯が硬くなったりして…。うーむ、残念。

服: 似た話で、漆を塗る筆には琵琶湖のネズミの毛がいいらしいんです。

鈴:他のネズミじゃダメなんですか?

服:ダメ。同じネズミが東京にもいるんですけど、東京のは狭いところをチョロチョロしてるうちに毛が切れちゃって使えない。自然の中にいるネズミのはのびのびしてるらしい。でも一番の問題は、今それを捕まえる人がいなんです。

鈴:犬みたいに適した種類を掛け合わせたりして筆ネズミを作れないんですか。

服:そこまでやるほど需要はないんです。漆の筆がもっともっと売れるんなら有り得るかもしれないけど。売れないから後継者がいない。江戸小紋の型を彫る道具の職人さんがいないとか、よく耳にするでしょ。それから絞りも、桶絞りってのがありますが、桶を作る人がいない。
 後継者がどうしたこうした。こういう話はたいてい陽のあたる部分での人材を心配するけど、もっと困るのはそれを支える道具を作る人とか、もっとベーシックな、陽の当たらないところ。この人たちは何十人、何十軒という織り屋がいて成り立つわけで、もし織屋が何十軒の半分になったら、道具を作る人は生活できないから辞めちゃう。

鈴:わぁ、伝統が守られ、受け継がれてゆくって本当に大変。全ての事柄は連鎖していて、きわどいバランスでどうにか成り立ってるんですね。ちゃんとそういうことを意識していかないと、そのうち着物だって完全に無くなっちゃうかも。イヤ〜。

服:いやいや、ホントに。でも今は若い方でも積極的に和服に興味を持ってくださる。とても有り難いことですわ。

鈴:はい、私ももっともっと着ます!長い時間、楽しいお話を本当にありがとうございました。とても勉強になりました。ぜひまた宜しくお願い致します。

Hattorisan
服部さん、本当にありがとうございました。またいろいろ教えてください!

2006年10月04日

服部綴工房 4~おまけ四方山

 着物ってステキ!着物は楽しい!…はい、たしかにそうです。同時に、呉服業界のコワイ話も耳にするし、イヤな経験をした人も少なくないと思います。つい先きごろ潰れた業界大手の呉服屋さんは強引な売り方がずいぶんと問題になっていたそうですね。囲まれちゃって、買わないでは店を出られない…それでお客さんがトイレからケータイで警察に電話をかけた。。ウソかホントか、そんな信じられないような話も伝え聞いています。

 インタビューもすっかり盛り上がり、話は尽きる事なく業界の裏側もチラリ。。。
*注:この「おまけ四方山」は単なる陰口ではありません。もちろん、特定の人物や団体を非難するものでもありません。ただ私自身、痛い目や悔しい目にもあってきました。それで多くの人が着物から離れてしまったり、或いは踏み込めないでいるのも事実。少しでも「イヤな気持ち」を未然に防ぎ、自衛の策に通じるならと思い掲載することにしました。

鈴:最近は展示会ばやりというか、大手百貨店などが開催する職人展なんかは毎回すごい人気だそうで。人気のある作家さんや工房は引っ張りだこで、肝心の制作する時間がなくて困るとか。

服:展示会もいろいろで。よく作家の先生による実演を呼び物にしてるとこありますね。昔ある展示会場で、金唐革(きんからかわ=なめし革の上に特殊な塗料で金属箔を貼り、金型で文様をプレスしたうえに彩色したもの。和装でもバッグや鼻緒、帯などに用いられる手法で高価)の先生がいて実演してるんです。刷毛みたいなもんでポンポン叩いてて。あんな風に作るのか…大変やな、と思って見てまして。それから3週間ぐらいして別の会場行ったら、その人が今度は綴れの機に乗って、綴れを織ってる。まぁ、織ってるといっても、そこに座ってしゃべってるだけなんですけど。私も確信もてないまま「たしかこないだお会いしませんでしたか」と尋ねたら、「いや、ワシな、西陣の問屋なんや。その場その場でいろんなことすんのや」と。結局フリだけ。でもそういう格好してたら普通は信じますわな。

鈴:誰がその場にいようと作品自体は問題ないんでしょうけど。でもそこで先生らしき人がもっともらしく云々してたら、ついこっちも多少高めでも買ってしまいそう。

服:とても腕の良い友禅職人さんがいまして。ある呉服屋さんの展示会でのこと。そこの奥さんが来た職人さんたちに色紙を渡して何か描いてくれと云ったんです。その友禅職人さんだけは刷毛で自分の着物と同じ花の柄をササッと描いたんです。実に見事でした。ところが他の上下着たような先生方はみんなか描けないんです。仕方ないから字書いたりして…「根性」とかね(笑)。

鈴:根性!あはは…、有り得ない。今度は展示会に行く時には色紙持ってゆくといいですね。記念に何か描いて、とお願いしてみて吟味します。

服:めちゃめちゃイヤなヤツですわ(笑)。そうそう、あの4ヶ月間無料で着付け教えます、という会社あるでしょ。CMにI.R.が出てて…今はだれだったかな。O.K.さんか。あれだって研修会というのがあって、普段ぼくらも知ってる問屋さんがいきなり着物に着替えて先生になっちゃうんです。

鈴:実は申し込んでみようかなと考えていたんです。新たな着付けの発見があるかもしれないし、無料だったらいいかなと思って。広告にも販売会はないと書いてあるし…

服:販売会はないです。研修会だから。つまりね。上場したときのデータを見ると60数パーセントが手数料収入。コミッションですわね。だいたい4ヶ月も無料でどうやって成り立つの、あの会社。

鈴:だって着る人がいないと始まらないから、呉服界の活性化のために頑張ってるんでしょ?

服:ギャラ高そうな有名人使って? 新聞の全面広告って、たしか何千万かですよ。フッフッフ。

鈴:あぁ、云われてみれば…。

服:ネーミングもひどいですわ。ちょっと前までは@@振興会と名乗ってたもの。わたしも「振興会」と付いてたときは騙されましたよ。

鈴:きっと行政と組んで、日本の伝統や文化を守る組織だと思いますよ。国からも支援があるんだろうな、とか。

服: 私も思ってました。でもそういうとこは上場しません。だから販売会はしないけど、勉強会? 研修会をやります。その会場には値札もついた品物が並んでいます。そして作家先生に扮した問屋の人は商品の説明をしてもいいけど、一切「お似合いですよ」とか「お値打ちですよ」と云って勧めてはいけないというマニュアルがあるそうです。そこで勧めるのは、誰だかわかります?

鈴:えっ、誰です?

服:着付けの講師。「あらー、あなたにビッタリ」とか「今度、訪問着の着付けをやるから一枚持っておくといいわよ」とかね。

鈴:信頼している先生だけに、う”ぅ〜、ぐやぢぃ〜。

服:いろいろカラクリがあるんですよ だから信用できるお店、きちんとしたところでお買い物をするようオススメするんです。

実はかくいう私も昔、@@校に通っていたときに同じ目にあいました。着物と帯のセットを定期預金を解約して購入。後に同じ帯がそれより半分の値段で売られているのを見つけたときはショックでした。
私たちが自衛することが、業界の健全化に繋がります。くれぐれも気をつけませうね!

Tohoho_1あぁ、私もずいぶん高い授業料を払ってきたな〜。トホっ。
もっともっとモノを見る目、人を見る目を養わなくちゃ!
日々これ勉強なり…だわね。
さぁ、着物とのいいお付き合いをしてゆくぞ〜。
…そんな決心を新たなにするマユコであった。
某月某日、カフェにて。(イメージ写真)

2006年11月02日

松枝哲哉さん~1

 重要無形文化財久留米絣技術保持者である松枝哲哉さんは、同じく久留米絣における人間国宝・松枝玉記さんのお孫さんです。その松枝哲哉さんが上京していると聞いて、喜びいさんで会いに行ってきました。
 実は、全くブランドに興味のない私は「@@@先生」と作家さんの名前を云われても、しばしばピンときません。ところが数年前に一枚の着物に恋をしまして、それが松枝哲哉さんの作品だったのです。以来、どんな方がこの着物を創ったのかしら、と想像を膨らませていたのです。まさにインタビューのチャンス。鈴なりインタビュー企画・第2弾でございます!
 「おぉ、嬉しいな。私の作品ですね」という声に振り向くと、小柄で目のクリクリした人が立っていました。瞬時に頭に浮かんだのは、白黒ネコのFELIX。それが松枝哲哉さんとの出会いの瞬間でした。(マジドキだった〜)

万)まず久留米絣の特徴から教えてください。
松)先染めの平織りであるということ。藍を使っていること。綿であること。投げ杼(杼=緯糸を通すときに使うもの)で緯糸の打ち込みをすること。その他、細かく挙げれば、もっといろいろ規定はありますが、だいたいはそんなところでしょう。
万)先染めの平織りと一口に云いますが、その行程たるや大変なものなんですよね。
松)えぇ。絣は織るときにはすでに模様ができています。どういうことかと云うと、予め糸を括って染め分けてあります。つまり先染めですね。それを経糸と緯糸で織ってゆきます。初歩的なものは縦絣。縦にだけ模様がある。技法が簡単で、一番原始的。それから横絣があって、後は縦横の絣。3種類。

Kukuri
括り糸の見本。括ったところだけ染まらずに白く残ります。その計算された白色や藍の濃淡の部分がタテ・ヨコと織られて、絵が浮き出てきます。これが絵絣です。

万)こうやって松枝さんの作品を見ても、細かいところは本当に細かい!また、ダイナミックに思い切りいいところがあったり…素人目に見てもクラクラします。
松)縦横絣は技法的にも難しいので、世界的に見ても、分布してるところは限られてます。インド、インドネシアの小さな村、そして日本。日本には全ての絣(技法)があるんですよ。
万)珍しいことなんですか?
松)はい。「絣」というものが日本人の感性ににあっていたからなんでしょう。
万)そして間違いなく松枝さんの感性にもハマったわけですね!松枝さんは始めからこの道に進もうと思ってらしたのですか? 他に、子供のころに夢見た職業とかは?
松)ないですね。中学に入ったころには、もう藍染めを始めてましたし。
万)一途というか…。浮気しないタイプですか(笑)。お祖父さまの玉記さんの存在が大きかったのでしょうか。逆に偉い人が身近にいるだけに、プレッシャーもありましたか?
松)プレッシャーは全くありません。実は私の父はサラリーマンだったんです。なぜ久留米絣の家に生まれて、って思われるでしょ。単純に食えなかったんですね。それで父は一家のために努めに出てくれました。ですから私には祖父や父の想いもあるんです。だから余計に「やるぞ!」って。
万)「食えない」というのは時代ですか。
松)久留米絣の長い歴史の中で、最盛期には220万反も作られていたものが、昭和20年には戦争でほとんど無くなってしまいました。120反だけ…それも技術保存のためだけに作られるようになりあました。それから戦後、少しずつ持ち直して現在は10万反ぐらいかな。それでもまだまだ頑張らないと(笑)。

       つづく…

2006年11月03日

松枝哲哉さん~2

 去る10月28日、上京していた重要無形文化財久留米絣技術保持者である松枝哲哉さんとお会いして、運良くいろんなお話を聞くことができました。久留米絣の特徴について、という話題から「藍」のお話に移ってゆきました。その続きをどうぞ!

Matuedasan


万)それにしても藍って、本当にキレイですよね。日本人をこんなにも美しく見せてくれる色はなかなかないと思いますよ。まさにジャパン・ブルー。
松)でも厳密には日本原産ということでもないんですよ。藍はいろんな国々にありました。
 まず字を見てください。草冠に、監視の「監」と書きます。昔、中国では藍というのは非常に貴重なもので、薬だったんですね。それで栽培するにも監視してたんです。だから監視をされた草。
 種類もいろいろありまして、インド藍は豆科。インディゴと云います。紀元前後からあってローマ帝国に輸出もしてました。それもやはり染料としてではなく、薬でした。
 実はヨーロッパにもイギリス、フランス、ドイツ、トルコなどを原産地とする独自の藍が有史以前からありまして、それを大事にするあまり、インドから入ってきた藍を使うと縛り首になる…そんな厳しい時代もあったようです。ただどうしても染料分が少なく、染まりが弱かったもので、インド藍に負けてしまったんでしょう。
万)へぇ、弱肉強食なんですね。日本の藍は?
松)日本では蓼科の藍が使われていますが、原産はベトナム、ビルマの奥地…、中国の福建省あたりではないかと云われていまして、それも元々は薬として渡ってきたみたいです。いつごろ日本に入ってきたかは不明ですが、かなり古いです。
万)薬としての藍はどのように使われていたんでしょう。
松)江戸時代には胃ガン、食道ガンなんかにも効くと知られていました。この頃の漢方…薬を記した本に【諸毒を解し、久しく服用すれば頭髪白くならず、身体軽くなる】と載っています。
万)現代でも藍染めは虫除けになるとか、アトピーにもいいとか、注目されてますものね。でも…、こんなこと云ったら本当に申し訳ないんですが、どうしても藍のもの…特に木綿などは野良着っぽくなってしまう。野暮ったくてダサイか、ステキになるか…。ギリギリじゃないですか。
松)あはは。たしかに! それは創る側の感性と、着る人の個性でしょう。
万)松枝さんの着物はモダンであるけど、ただ尖ってるわけではない。優しさ、素直さ、可愛らしさ…そういった暖かみを感じます。どういう点を気を配って制作されるんですか。
松)ありがとうございます。私はストーリー性といいますか、その時々の気持ちを大事にしています。
万)では着物を見れば、その時にどんな気持ちだったか、何を想っていたかが分るんですね。
松)えぇ。今着て頂いてる着物は私が暮らしているところの景色です。緑があって、川が流れて、山があって…とても美しいですよ。耳納連山は急激に高くなっていて、独特の地形なんです。私はこの景色をとても大事にしています。環境を守っていくことは大きな課題ですね。
万)「着物」は環境と深く関わりあってますものね。…自然があってこそ、というか。
松)染織りに携わっているのはもちろんですが、やはり「人間」として大切なことでしょう。うちでは湯を沸かすのも薪を使ってます。さすがにお風呂やなんかはガスですが、工房での作業は今でも薪。ただ作品を仕上げればいいというワケじゃなくて、どうやって作るのか。どうやったらみんなが幸せになれるのか。いろいろとね、取り組むべきことは沢山あります。さっきも話したように創る人間の感性はそのまま作品に表れます。ですからいろんな事に興味を持ち、自分も成長していかければダメだと思ってます。
万)これからの夢や挑戦したいことは何かありますか。
松)そりゃありますよ。描きたいものが、まだまだ沢山あります。絵を描くのは楽しいですよ。絵糸を作っていくの。糸が出たり引っ込んだりするうちに、自分が思っていたこと以上のものが表れてくるんですよ。それが一番楽しいとこかな。

 松枝さんは作業している時の楽しさを、目をキラキラさせながら語って下さいました。そしておもむろにポケットから出した一枚の写真…
「これは息子の七五三の時。今はもう大きくなっちゃったけどね」
 写真には奥様と息子さんが写ってました。息子さんの晴れ着は、なんと奥様と二人で作ったオリジナルの久留米絣。なんという贅沢! そしてなんという藍…
じゃなかった、、、愛!


Sorry
写真ではかしこまっていますが、お話をしてる時の松枝さんは表情豊かで、本当にクリクリ目玉のFELIXなんです。先生、許して!

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