改葬が増えている理由は?メリットやデメリット、改葬する際のトラブルとは

改葬が増えている理由は? コラム
改葬が増えている理由は?

別の場所にお墓を移す「改葬」は、近年増加傾向にあります。
さまざまな理由でお墓の維持管理が難しくなり、改葬を検討している人も多いでしょう。
この記事では、改葬のメリット・デメリットや気を付けたいトラブルについて解説していきます。

改葬とは

遺骨を埋葬されているお墓から別の場所に移すことを「改葬」といいます。
主な改葬先は、納骨堂や永代供養墓などです。中には、お墓ではなく遺骨を自宅に保管して「自宅墓」という形で供養する人もいます。また、全ての遺骨ではなく、一部の遺骨だけを移す「分骨」を選ぶ人もいます。
改葬はお墓参りしやすい場所に遺骨を移し、しっかり供養を続けたい人に向いている方法です。
お墓の将来を考え、「改葬」ではなく「墓じまい」という方法を選択する人もいます。
墓じまいとはお墓を撤去して更地に戻し、墓地の敷地をお寺などの管理者に返却することです。次の世代にお墓の維持管理の負担を負わせたくない人や、お墓を継ぐ立場の人がいない場合に向いています。

改葬が増えている理由

厚生労働省『衛生行政報告例』によると、2018年のお墓の改葬件数は115,384件でした。
2009年には72,050件だったので、10年間で1.6倍ほど増加していることが分かります。
改葬した人は、どのような理由があって先祖代々のお墓や家族のお墓を移したのでしょうか。
ここからは、お墓の改葬が増えている理由を解説していきます。

お墓が遠い

現代では、就職や結婚で故郷から離れた場所で生活する人も多いでしょう。現在の住まいから離れた土地にお墓があると、管理をするのは難しいものです。特に高齢になってくると、お墓が遠いと負担になります。
「遠くてお墓参りに行けない」「お墓を維持するのが体力的にきつい」
このような理由で、家の近くのお墓に改葬する人が増えていると考えられます。

後継者がいない

お墓は配偶者や子どもが承継するのが一般的です。しかし、独身だったり子どもがいなかったりして、お墓を継ぐ人が見つからなかった場合、管理する人がいない「無縁墓」になってしまいます。

お墓が複数ある

子どもがいない親戚のお墓を受け継いだり、親が離婚したりなどの事情で、1人の人が複数のお墓を管理するケースもあります。あちこちにお墓があると、維持管理の費用や手間がかかるため、お墓を1か所にまとめるために改葬する人もいます。

改葬を行うメリット

お墓が遠いことや、後継者がいないなどの理由で改葬する人が増えていると分かりました。ここからは、改葬のメリットについて解説していきます。

お墓参りしやすくなる

お墓が遠いと、お墓参りになかなか行けなくなったり、お墓の管理が負担になったりしがちです。
自宅から通いやすい場所に改葬すると無理をせずにお墓を管理でき、亡くなった方を供養できます。お墓が荒れてしまうのを防ぐことができます。

無縁墓にならない

お墓を継ぐ人がいない場合、「大切なお墓が無縁墓になってしまう」と心苦しくなってしまう人も多いはずです。永代供養墓に改葬すると、後継者の代わりにお寺や霊園が管理してくれます。
先祖代々の墓や、大切な家族のお墓をいつまでも供養してもらえるという安心感が得られるでしょう。

お墓の維持費を減らせる

お墓は、維持していくのにお金がかかります。霊園にもよりますが「管理費」として年間2,000円~15,000円程度かかるのが相場です。また、寺院墓地にお墓がある場合、お布施や寄付が必要なケースもあります。
維持費がかからない改葬先を選ぶと、そのような金銭的負担をなくせます。
また、遠方にお墓参りするための交通費も削減できるでしょう。

改葬を行うデメリット

改葬には魅力的なメリットがありますが、デメリットも存在します。改葬した後で「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、デメリットをしっかり把握しておきましょう。

先祖代々の墓が無くなってしまう

長年受け継いできた先祖代々の墓を、自分の代で取り壊してしまうということが心理的負担になってしまう恐れがあります。また、お墓には一族の心の拠り所という側面もあります。改葬にともなってお墓がなくなってしまうことで、喪失感を感じることもあるでしょう。

改葬する費用が必要

先に説明したように、改葬すると維持費を削減できる場合があります。しかし改葬するときには、まとまった費用が必要です。改葬を検討するときは、一時的な金銭的負担はどのくらいなのか確認しておくことが大切です。

再度改葬できなくなる可能性がある

遺骨を1柱ずつ個別の骨壺や納骨袋に入れてお墓に埋葬する形式では、改葬する際は該当する人の骨壺を取り出すことができます。
しかし樹木葬のように骨壺から出して埋葬したり、共同墓で他の人の遺骨と一緒に埋葬したりする場合、後から遺骨を取り出せなくなってしまいます。改葬した後に、再度別の場所に移すことはできません。再度改葬する可能性がある場合、遺骨を回収できる埋葬方法を選びましょう。

改葬に関するトラブル

とても残念なことですが、改葬したことによってトラブルに発展してしまうケースもあります。改葬する場合どのようなトラブルが起こる可能性があるのか確認し、事前に対処しておきましょう。

親族とのトラブル

法律的に、改葬はお墓の使用権者が決めてよいとされています。特に親族の同意は必要ありません。
しかし、お墓に眠っている故人は親族にとっても大切な方なのです。強引にお墓を移すと感情のもつれから大きなトラブルに発展する恐れがあります。
やむを得ない事情があってお墓を移す場合でも、事前に親族に相談し気持ちに寄り添う姿勢を見せることで誠意が伝わるでしょう。

菩提寺とのトラブル

菩提寺のお墓を改葬する場合、同時に檀家を辞めるのが一般的です。その際、「離檀料」という形でお布施を渡す習慣があります。離檀料としてのお布施には、特に決まった金額はありません。地域やお寺との関係にもよりますが、中には高額な離檀料を求めるお寺もあるようです。
払えないからとお布施の支払いを拒否したり、減額を求めたりして折り合いがつかず、トラブルに発展するケースもあります。
なお、お墓を移す際は書類にお寺の署名捺印が必要なため、お寺の同意なしに強引に改葬することはできません。

石材店とのトラブル

改葬するときに、依頼した石材店がミスをして墓石を壊してしまう可能性があります。周囲にある他の家のお墓を破損してしまうと、重大なトラブルになりかねません。また、まれに古い墓石を不法投棄してしまう悪徳業者も存在します。
このようなトラブルを避けるためにも、大切な墓石を丁寧に扱ってくれる石材店を選ぶ必要があります。お寺や信頼できる人に紹介してもらうとよいでしょう。

まとめ

近年増えている改葬について解説しました。大切なお墓が荒れ果ててしまうのは心苦しいものです。お墓を適切に維持管理する方法の1つとして、この記事を参考に改葬を検討してみてはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました