通夜の後に、遺族は斎場に残って宿泊することがよくあります。泊まる必要があるか疑問を感じたり、泊まって何をすればよいのか分からず不安になったりする人も多いでしょう。
そこでこの記事では、お通夜の後に泊まる「寝ずの番」について解説していきます。
寝ずの番とは
通夜の後に泊まって、夜通しご遺体を見守ることを「寝ずの番」「線香番」「夜伽(よとぎ)」といいます。
ここからは、宿泊して寝ずの番をする理由を解説していきます。
ご遺体を見守るため
医療技術が発達していなかった時代では、心拍数の計測などお亡くなりになったと確認する手段がありませんでした。そのため、お亡くなりになったと思われていた人が息を吹き返す可能性もありました。
生き返った場合にそなえ、念のために付き添っていたのです。
宗教的な理由
仏教ではお亡くなりになった方は匂いのみ食べるといわれています。つまり、故人の食事として線香を焚く必要があるのです。
また、線香を焚くと故人に悪霊がつくのを防げると考えられています。故人が空腹にならずに無事に極楽浄土へ行けるよう、宿泊して線香を焚くのです。
現代において泊まる理由
現代では、最期に故人と一緒に過ごし別れを惜しむという意味合いが強くなっています。
また、翌日の葬儀に備えるためという現実的な理由で宿泊する場合もあるようです。
通夜で泊まったときの過ごし方
宿泊したときは、線香とろうそくの火を絶やさないように過ごすものとされています。その際、線香やろうそくを複数使うと極楽浄土へ向かう途中で道に迷ってしまうと考えられているので注意が必要です。
1本の線香やろうそくを1人で見守るのは体力的な負担が大きいため、遺族が交代しながら線香番をするとよいでしょう。
葬儀場では、線香番の負担を軽減するために一般的な線香よりも長時間もつ渦巻き線香を使用する場合もあります。
また、寝ずの番をするときは部屋の電気をつけておくのが一般的です。暗くしないと眠れない人は、アイマスクを持参するとよいでしょう。
通夜で泊まる人の範囲
一般的に、故人の配偶者や子ども、孫やひ孫が宿泊する場合が多いです。しかし葬儀場に設けられた宿泊場所の広さによっては、希望しても家族全員は泊まれない場合があります。
また、家族以外でも特に親しい人が宿泊することもあります。
通夜で宿泊する際の持ち物
葬儀の前は、打ち合わせや参列者への対応などに追われて忙しいものです。また、体力的にも負担が大きいでしょう。必要な物を忘れ、帰宅したり買いに行ったりしなくて済むように準備を整えておくことが大切です。
ここからは通夜の後に宿泊する際の持ち物を紹介していきます。
数珠・喪服・香典
通夜に参列した後にそのまま宿泊する際は、香典はすでに渡してあり、喪服を着て数珠も持っていることでしょう。
男性は翌日分のワイシャツや肌着、黒靴下を持参しましょう。女性も下着や黒ストッキングの替えが必要です。
通夜に参列せずに宿泊する場合は、数珠や喪服、香典を忘れないようにしましょう。
アメニティグッズ
宿泊する際に必要なアメニティグッズは以下の通りです。
・歯ブラシ、歯磨き粉
・シャンプー、トリートメント
・せっけん、洗顔フォーム
・タオル
・ヘアブラシ、整髪料
・ひげ剃り、プレシェーブローション、アフターシェーブローション
・化粧品、クレンジング
葬儀場に泊まる場合は、あらかじめアメニティは何が用意されているか確認して必要な物だけ持参すると荷物が少なくてすみます。ドライヤーは、備え付けの物があっても風が弱い場合があります。荷物に余裕があるなら持っていくとよいでしょう。
喪主の家に泊まる場合は、「用意してくれるだろう」「借りればいいかな」と思いがちです。しかし家族が亡くなった後は気が動転しているうえ多忙を極めるため、客用歯ブラシなどを準備する余裕がない可能性もあります。必要なアメニティグッズは持参した方がよいでしょう。
部屋着
喪服で一晩中過ごすとシワがついてしまいます。リラックスできる部屋着を用意しておきましょう。
通夜の後に泊まるのは家族など親しい人がほとんどですから、ジャージなどのカジュアルな服でも問題ないとされています。しかし何か買いに出かけたり、葬儀場のスタッフと会ったりする可能性があるので、人前に出られない服は避けた方がよいでしょう。
また、あまり派手な色や奇抜な柄の服はやめておいた方が無難です。
通夜で泊まるときに注意するべきこと
葬儀場はホテルではないため、同じ感覚でいると当日になって困惑することもあるでしょう。
ここからは、葬儀場に泊まる際に注意しておきたいことを解説していきます。
宿泊設備が充実していない可能性がある
和泉市で家族葬を行う場合、通夜の後に泊まれる葬儀場は多いですが、葬儀場により設備はかなり差があります。部屋の広さや設備などは泊まる前に確認しておきましょう。
また、葬儀場によってはセキュリティや設備などの関係で宿泊できない場合もあります。
入浴について
ホテル並みに入浴設備が充実している葬儀場はあまりないのが現状です。シャワーやお風呂があったとしても、せっけんやシャンプーなどは無い場合がほとんどです。
葬儀場に入浴設備がない場合は、近くの銭湯やネットカフェに行ったり、いったん自宅に戻って入浴したりするとよいでしょう。
寝ずの番ができない場合の対処法
お通夜の後は、お亡くなりになってからの慌ただしさで遺族はかなり疲労しているはずです。無理に寝ずの番をし、体調を崩してしまうと葬儀に参列できなくなる恐れもあります。
ライト型のろうそくや渦巻き状になっていて長時間燃える線香などを利用し、無理のない形で故人を見守りましょう。
ホテルに泊まるという選択肢もある
ホテルはアメニティや入浴設備が揃っているので、葬儀場で仮眠するよりも体を休めることができます。遺族は翌日以降も葬儀や手続きで忙しいため、あえて葬儀場に泊まらずホテルに宿泊して疲労を回復しておくという選択肢も考慮に入れておきましょう。
まとめ
通夜の後の宿泊について解説しました。宿泊する場合はしっかり準備を整えて、落ち着いて故人との最期の時間を過ごしましょう。